外壁に大型壁画出現
世界遺産「識名園」描く/上野宮国 画家の宮國米男さん
国の名勝でユネスコ世界遺産に登録されている琉球王家最大の別邸「識名園」が上野にある民家の壁面に描かれている。描いたのは同地出身で浦添市に住む画家の宮國米男さん(69)。宮國さんは「琉球王家に関わりがあった先祖への供養と、県外からの観光客に楽しんでもらうために描いた」と話した。民謡歌手でもある宮國さんは絵の完成を記念した芸能祭を旧盆中日の来月14日、同所で開くことにしている。
絵は上野宮国の宮国成正さん宅の倉庫外壁に描かれている。宮国さん宅は宮国公民館から東へ50㍍ほどのところにある。絵は2面あり識名園とハイビスカスがある。識名園は縦5㍍、横10㍍ほどで石橋や池、赤瓦の屋敷などが立体感あふれるタッチで迫力がある。今年2月からペンキで描き始め、沖縄本島から通いながら4月に描き終えた。
地域の人たちだけでなく、レンタカーで通りかかった観光客らが立ち寄り絵を見上げている姿も見られる。
宮國さんはもともと看板職人で10年ほど前まで看板制作会社を経営していた。経営引退後に絵画に本格的に取り組み、欧州の美術館も巡った。宮古島市民総合文化祭への出展実績もある。宮國さんは「曾祖父が琉球王府への貢納船に乗っており、王府から帽子や古文書などを頂いた。先祖を大事にしたいとの思いから識名園を選んだ。また県外からの観光客にも琉球を紹介したい。見て楽しんでほしい」と説明した。
識名園は廻遊式庭園で、1941年に国指定の「名勝」となったが45年の沖縄戦で破壊された。75年から96年にかけて復元整備され、再び76年に「名勝」に指定され、2000年に「特別名勝」となった。同年にはユネスコ世界遺産(琉球王国のグスクおよび関連遺産群)に登録された。
芸能祭は来月14日午後7時から壁画隣の宮國さんの実家跡のペンション「高道」前で開かれる。