「大神島憲章」制定へ/自治会
オーバーツーリズム備え/県地域振興協会が支援金
大神自治会(久貝愛子会長)が、「大神島憲章」を制定する。手付かずの豊かな自然、歴史や文化、静かな環境を次世代につなげるための取り組みで、オーバーツーリズムへの備えを兼ねる。そんな大神島の住民をサポートしようと、県地域振興協会(会長・富川盛武副知事)が大神自治会を地域活性化事業の助成団体に選定。27日、自治会に決定通知書を交付した。島の持続的発展に向けた取り組みがスタートする。
島の住民のここ数年の悩みはオーバーツーリズムが招く将来への不安だ。「観光公害」とも呼ばれるオーバーツーリズムは、観光客の数に観光地が耐えられない状態のことを指す。ごみが増えたり、住民の静かな生活が脅かされたりすることを総じて表現する。
このような「公害」の広がりを防ぐことと、島の豊かな未来を描くために憲章の制定を決めた。島が持続的に発展していけるよう行動規範を定める。そのための資金造りとして県地域振興協会の地域活性化助成事業を活用。助成率90%(限度額30万円)の支援金を得られる団体に選定された。
自治会は今後、地域づくりの専門家らを島に招いて勉強会などを開き、憲章の草案づくりを進める。
県地域振興協会の助成団体決定通知書の交付式が27日、島尻のパーントゥの里会館であり、同協会プログラムオフィサーの山城定雄さんが自治会長の久貝さんに通知書を手渡した。
山城さんは「人口が少ない島をどう守り、どう生かしていくかを考える上でも憲章は意義深い」と自治会の取り組みに賛同し、「私たち地域振興協会としても全力でサポートさせていただきたい」と約束した。
これに久貝さんは「大神島を守るための憲章をつくりたい」と住民の切なる願いを代弁し、「次世代に良い島を残すことが私たちの責務だから」と憲章づくりに向けての決意を語った。
大神自治会を支援する地域振興協会の前身は、1981年に設立された県対米請求権事業協会。戦後の米軍による土地の強制接収を踏まえ、日本政府が特別支出した120億円を基金に被害者への援助事業、文化の高揚および地域振興の各種事業を展開している。