下地市長が給与減を提案/市議会
事務ミス「監督不行届」/追認議案では初の措置
市が備品などの購入契約で議会の議決が必要だったにもかかわらず、この手続きを取らずに納品業者と契約を締結していた問題で、下地敏彦市長は16日、自らの給与と長濱政治副市長の給与を月額10%(市長8万3000円減、副市長6万6000円減)を3カ月にわたり減額する議案を開会中の市議会(棚原芳樹議長)6月定例会に提案した。市はすでに、契約を有効にするための「追認議案」を今議会に提出している。市によると、議会に追認を求める議案は過去4回提案されているが、市長と副市長の給与減額が提案されたのは初めて。行政トップが自らの処分を科すことで、職員に不祥事に対する危機感を日常的に持つことを示すのが狙いと見られる。野党などは、不適切な事務処理や、問題を放置していた市の対応を「議会軽視だ」などと厳しく批判した。
同議案は、総務財政委員会(嵩原弘委員長)で審査された後、21日の最終本会議で採決が行われる。
原案通り可決されれば、7月1日~9月30日までの3カ月間、下地市長の給与は月額83万円から74万7000円に、長濱副市長は月額66万円から59万4000円にそれぞれ減額される。
質疑で、答弁した長濱副市長は市長、副市長の責任の所在は「事務処理する際の監督不行届き」と説明。減額の根拠については、追認議案に関しての市長、副市長の減給は過去にないとし「自ら決定した」として理解を求めた。
市によると、決済にかかわったのは担当職員、係長、課長、局長、副市長、市長の6人。長濱副市長は、今議会終了後、市職員懲戒分限審査委員会を設置し、関係職員の処分を審査することも明らかにした。
市は決裁の途中に、議会議決が必要でこのままだと違法な手続きだということを知りながらも、業者に購入代金を支払っていた。
議員に追及された宮国高宣総務部長は、「年度内に処理しなければならず、時間的余裕がなかった」などと釈明した。
議会の議決を経ずに契約を締結したのは、市スポーツ観光交流拠点施設(JTAドーム宮古島)内で、企業の会議や研修旅行などに使用する会議用テーブル、椅子などの備品購入(契約額3685万円)と、ドーム内で使用するバスケットボールのゴールなどのスポーツコート関連用品購入(3272万円)の2件。いずれも一括交付金を活用している。このうち、会議に使うテーブルなどの備品代金は全額支払われているという。
地方自治法や市の条例では、2000万円以上の備品購入などの「財産取得」は、議会の議決が必要となっている。
市は契約を有効にするための「追認議案」を今回の議会に提出したが、総務財政委員会(嵩原弘委員長)は12日の委員会で「認められない」と否決した。21日の最終本会議で再び採決される。