6割が小規模経営/宮古地区/繁殖牛飼養農家
30頭以上は1%未満/高齢化進み市場先細り
宮古地区における繁殖牛飼養農家の58%が小規模経営であることが県家畜改良協会宮古出張所のまとめで分かった。安定経営の目安とされる30頭規模の飼養農家は1%にも満たない。農家の7割弱が60歳以上と高齢化が急速に進む中、若手農家を中心とする規模の拡大が進んでいない現状が浮き彫りとなった。担い手不足と頭数確保の面で市場の先細りが懸念される。
家畜改良協会宮古出張所が、2015年4月1日から17年1月31日の農家別分娩間隔データリストから繁殖牛飼育規模戸数及び飼養頭数を割り出した。
この結果、繁殖牛1~4頭飼養の農家が500戸で最多だった。以下▽5~9頭=235戸▽10~14頭=75戸▽15~19頭=30戸▽20~24頭=15戸-と、頭数が増えるごとに飼養戸数が減少している(表参照)。
一方、市がまとめた16年12月末現在の年齢別農家戸数をみると、61歳以上が全体の68%に及ぶ。70歳以上の比率も44・2%と高い。
最も多い年齢は61~70歳区分の202戸で、全体の24%を占める。81~90歳の181戸(21・9%)、71~80歳の171戸(20・7%)が続いており、高齢化が顕著に表れている。
半面、60歳未満の農家戸数は258戸で、全体の3割強にとどまり、若年層になるほど戸数が減少する年齢構成となっている。
県家畜改良協会宮古出張所は「繁殖牛20頭以上を有して、肉用牛経営を主軸とする農家は29戸にとどまっている」と指摘し、従来の複合経営を基本とする振興戦略の見直しを提唱。専業経営への転換を促し、「若い世代が職業として選択可能な経営体の形成が必要ではないか」としている。
また、JA宮古地区畜産振興センターは、中規模経営農家における飼養頭数の増加に期待を込める。
肉用牛は、母牛や草地の確保、牛舎整備等で大きな資金が必要とされる。新規参入から2年後に子牛を上場するが、その時の相場を見通せないというリスクもある。このため「新規の農家を増やすのは厳しい」と見ており、当面は現在の中規模農家による飼養頭数増のシナリオを描いている。
素牛(子牛)価格が高値で推移し、販売高も45億円と過去最高を記録した肉用牛産業だが、将来的な市場の安定と宮古牛のブランド化に向けては課題が山積しているのが現状だ。