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行雲流水
2017年7月11日(火)9:01

【行雲流水】(「食」賛歌)

 ロボットや人工知能の進化が急速に進んでいる。これまでの道具としての活用から、人と人工知能(AI)の共同作業に重点が置かれるようになった

▼人工知能による金融界における株価売買の判断。膨大な医学的根拠をベースに判定する病気の診断。条件を指定して作曲させるソフト。人と人工知能による共同創作小説を対象にした「星新一賞」もある。自ら学習し、判断する能力が進化、人工知能が自分より優秀な人工知能を開発し、それがさらに優秀な人工知能を開発するという自己進化を進める可能性もあるとされる

▼囲碁や将棋での強さをみても、知能を争うことでは、人は人工知能にたちうちできなくなる。しかし、人間には、ロボットや人工知能にない能力がある。「食」を楽しむことである

▼長州藩の13代藩主毛利敬親は、幕末の混乱期に有能な家臣を登用し、窮乏していた長州藩を豊かにした。彼は自らも倹約を旨としていたが、甘い大福には目がなく、その誘惑に抗することができなかった。世界一おいしい宮古のあん餅を食べていたら目を丸くしたに違いない

▼人工頭脳が工夫し尽くしたサプリメントは宇宙人に食べさせて、僕らは「あんもち」を食べよう。人工知能作曲の元気のでる曲はロボットに聞かせよう。人間にはモーツァルトの甘美な旋律がふさわしい

▼人工頭脳の軍事利用による自動操縦兵器の開発が列強で進められており、人類を破滅させかねない。すべての人が、食文化を楽しめる世界にすることこそが、現今の人類の課題である。

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