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行雲流水
2017年7月27日(木)9:01

【行雲流水】(夏休み)

 「楽しい夏休み」にはいって1週間。子どもたちの自由度が増すにつれて、親たちの心配事も増えてくる。高学年生は自分なりに考える力を身につけていると思いたい。低学年生には目配りが欠かせない。勤め人の親は留守宅が気がかりだ

▼昔は、よその子どもの立ち居振る舞いについてもわが子同様にみんなで見守っていた。「人生は相身互いだ」との連帯感があった。核家族化が進んでいる昨今は、そんな余裕はないようだ

▼個人の自由が尊重される世の中になったからでもあろう。結構な世の中だが、お互いに人権、親権、自己責任といった観念にとらわれ過ぎていないかどうか。法治国家の市民として当然だと言われれば返す言葉がないが、やせ衰えていく畑をながめる老農夫の心境になる

▼そんな環境で育った社会人1年生は、職場の廊下で自分が落としたチリは拾うが、その横にある他人の落としたチリは拾わないと聞く。「自己責任」もそこまで徹底すれば、〝なにをかいわんや〟だ

▼上海に進出した日本の大手デパートの経営者は、従業員教育に手こずっていると語る。売り子に「持ち場に落ちているチリを拾うように」命じたら、「それは掃除人の仕事だ」と反論されたという。分業化が進むとそんな現象も出てくる。感性(自覚力と指導力)の葛藤は悩ましい

▼だが、人間の本質は昔も今もあまり変わっていないのかもしれない。先達のこんな言葉が残っている。「人は言って聞かせて、やって見せて、やらせてみて、ほめてあげなければ動かない」(山本五十六)。

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