子牛頭数、5年で2割減/肉用牛競り17年上半期実績
上場平均400頭割る/素牛産地化に黄信号
JAおきなわ宮古家畜市場の2017年肉用牛競り上半期実績で、1カ月の平均素牛(子牛)上場数が400頭を割り込み、過去5年間で2割減少していることが分かった。要因は生産農家の高齢化と担い手不足に伴う素牛生産能力の低下が挙げられる。上場頭数の減少は購買者の市場離れを招く。優良素牛の産地化に向けて、早急な対策が求められている。
5年前の12年上半期、子牛上場頭数は1カ月平均484頭だったが、それ以降は年々減少している。16年は403頭とかろうじて400頭をキープしたが、17年はついに400頭を割り込んだ(表参照)。
初競りの1月と、翌2月までは前年の頭数を上回る実績だったが、3月以降は同数か、前年を下回る頭数となり、5月には343頭まで落ち込んだ。6月は359頭と持ち直したが、上半期としての平均上場数は393頭と少なかった。
要因は、生産農家の高齢化と担い手不足による労働力の低減とみられる。廃業する農家が増える一方で担い手が思うように育っておらず、規模の拡大も進んでいないのが現状だ。
県の調べで、2016年県全体の肉用牛飼養頭数は前年より2・1%増えているが、宮古地区の頭数は2・6%減少している。
上場頭数の減少で最も懸念されるのが市場に対する評価だ。頭数が減るほど大口購買者による購買比率が高まり、中小規模経営の購買者は手を出しにくくなるという。結果として購買者の減少を招いて競争率は低下。素牛取引価格に与える影響は避けられない。
こういった悪循環に陥らないためにも、JA宮古地区畜産振興センターは「最低でも、350頭は上場しなければならない」とみている。ただ、実際の上場は伸び悩んでいる。先月の上場も353頭と最低ラインぎりぎりだった。今月も350頭前後とみられ、厳しい状況が続いている。
JAは「増頭は地区全体で取り組んでいかなければならない」とし、官民一体の増頭運動の展開を訴えている。生産者には「子牛の事故率を下げることと、発情を見逃さないように妊娠鑑定を受けるようにしてほしい」と促している。