干ばつ被害、拡大懸念/キビ葉のロール現象進む
かん水の申請は急増
少雨の影響で干ばつ被害の拡大が懸念される。かんがい施設が整備されていないサトウキビ畑では葉のロール現象が進み、一部では黄変も見られる。大型トラックによるかん水の申し込みはこの2~3日で急増。申請件数は456件に達しており、トラック約30台が各地でフル稼働している。
宮古島地方気象台が10日に発表した少雨に関する情報第2号によると、7月日から8月9日までの降水量は42・5㍉で、平年(159・7㍉)比は27%と雨が極端に少ない。
この影響を受け、株出しや春植えのサトウキビ圃場ではロール現象が発生。通常は光を受けるために開いている葉がくるりとロール状になり、1枚の葉が針金のようにとがった状態になる現象だ。一部の圃場では枯れている葉も見られる。
市やトラック組合は今月3日からかん水作業を開始した。当初の申し込みは鈍かったが、雨の降らない日が続くのと並行して申請が伸び「この2~3日は申し込みが殺到している」(奥濱貞夫理事長)という。
15日現在の申し込み件数は456件、トラックの台数は3553台に上る。このうちかん水を終えた台数は1156台。組合が対応に追われている。
組合や市によると、市町村合併前に導入したタンクの上に載せる噴射機やエンジンに故障が相次ぎ、現状の稼働台数は30台前後にとどまるという。2年前は台が稼働していた。奥濱組合長は「精いっぱいやっているが、申し込みが殺到している」と話し、今後のかん水に向けては一定程度の不安があるという。
市農政課の松原直樹課長は「各地でキビの葉のロール現象が見られる」と危機感を示し、農家には「かん水トラックの順番を待つだけではなく、小型タンクを活用するなどしてかん水に努めてほしい」と話し、理解と自助努力を促した。
気象台の予報では、向こう1週間も雨は期待できない。局地的に降る可能性はあるが、「全体に降る雨の予報はない」としている。