県農林水産部 共同畜舎整備へ/宮古地区
肉用牛振興で事業化検討/小規模生産農家を支援
宮古地区における繁殖肉用牛生産振興で、県が共同畜舎を整備する方向で検討を進めている。母牛の増頭や畜舎増設の資金繰りに苦慮する小規模農家(飼養頭以下)を支援する。草地管理策も講じる方針だ。県の島尻勝広農林水産部長は30日、飼養農家戸数および頭数の減少は「深刻な状況にある」と指摘し、「宮古地区をモデルに事業を展開していきたい」と事業化に強い意欲を示した。同日開かれた県農林水産部と宮古市村との行政懇談会で、県側が正式提案した。
県は、畜産振興に係る宮古地区の課題として、▽生産農家の高齢化▽小規模飼養農家への支援▽新規就農者への支援-を挙げた。
その上で、増頭による規模の拡大を目指す小規模農家をはじめ、新規就農者が利用する共同畜舎を柱に据えた振興策のイメージを提示した。コントラクター組織やヘルパー組合が草地を管理し、高齢農家の負担を軽減する案も示した。小規模農家の資金繰り、高齢化及び担い手対策を同時並行的に進める施策だ。
これを受け、下地敏彦市長は「共同畜舎を造るという案は本当に良い」と事業化を期待し、①城辺の肥育センターを共同畜舎として利用できないか②草地は下地島の残地を利用できないか-などを提案した。
県側は、共同畜舎の事業化までに2年程度要すことを見越し、「城辺の肥育センターでモデル的に実践できないかどうか検討を進めたい」などと回答した。
子牛頭数の減少に歯止めがかからない宮古地区の現状にあって、県の振興策の具現化が期待される。
県農林水産部と市村の懇談会は初の試み。宮古島市出身の島尻部長は「スピード感を持って方向性を決められるよう実のある会議にしたい。各課題については県や市、多良間村が互いに知恵を絞って意見交換することが重要。連携を密にした対応をお願いしたい」と連携の重要性を説いた。
下地市長は懇談会の開催に感謝して「今回の懇談会を通して県と市村が連携を密にし、宮古地区の農林水産業の一層の発展につなげていきたい」と述べた。
懇談会は、主に県側が市村の各要望に答える形で行われた。畜産振興について県側は、食肉センターの経営改善に必要な豚や山羊の生産振興に意欲を見せ、豚の支援策として▽高能力種豚および種豚候補豚の譲渡▽人工授精用精液の譲渡-を挙げた。山羊は種山羊の導入支援や人工授精師の育成に尽力するとした。
キビ種苗センターの宮古分室設置については「市から県への要請の趣旨を種苗管理センターに説明し、市側の意向を伝えている」との回答にとどめた。
多良間村の各要望については「連携して対応していきたい」などと答え、一層の連携を約束した。