輸送費補助を引き下げ/農林水産物流通不利性解消事業
次年度、航空路11円減額/県、「自立促進」で見直し
鹿児島までの輸送費相当額を補助する農林水産物流通不利性解消事業で、2018年度から補助基準額が引き下げられる。現行の補助額は航空輸送が1㌔当たり115円、船舶が35円だが、18年度は航空が11円減の104円、船舶が1円減の34円に見直される。19年度以降も毎年減額され、21年度は航空69円、船舶28円となる。県は生産者の自立促進を単価見直しの理由に挙げているが、一部では強い反発も予想される。
不利性解消事業は12年度に始まった。21年度が期限の一括交付金を活用した事業で利用実績は右肩上がりで推移。16年度の宮古島市の実績は輸送重量が4645㌧、補助額は前年度比3900万円増の3億7000万円と好調だった。
補助基準額の見直しは県の決定事項。18年度、宮古島からの航空輸送補助額は115円から104円に減額、花き・水産物は140円から126円となる。船舶は35円から34円に、モズクのみ次年度は現行の15円に据え置かれる。
基準額の見直しは19年度以降も続き、航空は21年度まで11~12円、船舶は2円ずつ毎年減額となる。
多良間島から宮古島への18年度補助額は現行の15円に据え置かれるが、19年度以降は1円ずつ減額。
補助基準額の見直しは自立促進のため。関係者宛て文書には「補助事業者自らが県外出荷態勢を構築していることが重要である」として理解を求めている。
ただ、これまでの説明会で、県が単価の見直しに言及したことはない。担当する県流通・加工推進課もその事実は認めているが、現段階で今回定めた年次ごとの単価を再度見直す考えはないという。本紙の取材に対しては「丁寧に説明していきたい」としている。
県は今月日に説明会を予定しているが、一部では反発も予想される。50代男性の農家は「何の対策も取らず一方的に基準額を見直す方針に驚いている。農業行政の後退ではないか」と強い憤りを示している。
不利性解消事業は、県産農林水産物の県外出荷に関し、大消費地から遠隔にある沖縄の輸送上の不利性を軽減することが狙い。
補助対象品目は、野菜がゴーヤーやカボチャ、レタス、オクラ、トウガンなど計16品目。果樹はマンゴーやパパイア、ドラゴンフルーツ、アセロラなど。