輸送費補助削減は再検討を/県議会11月定例会
農水産業支援で座喜味氏
【那覇支社】県議会11月定例会で7日、宮古島市区選出の座喜味一幸氏(沖縄・自民党)が一般質問で登壇し、沖縄からの農水産物を本土に出荷する輸送費を支援する「農林水産物流通条件不利性解消事業」で県が計画している支援額の削減について再検討を求めた。下地島空港と周辺用地の利活用や、県産グルクン水揚げ量の減少、尖閣諸島問題などについても、県の姿勢をただした。
座喜味氏は「この事業は、農家・水産業者に大変喜ばれている。28億円ほどかかっているが、(県の答弁でも)経済効果は約200億円ある。国からのソフト交付金が減額されたことによる無差別な削減ではないか。」などと述べ、支援額の削減の再検討を求めた。
これに対して島尻勝広農林水産部長は、「同事業は、5年を目途に見直しするということで、交付が決まっている。協議会で意見を集約したほか、JAや漁連などとも意見交換して今回の見直しを行った。(生産者の)自立化に向け、いろいろな意見を集約しながら検証していきたい」と県の立場を説明した。
下地島空港と周辺用地の利活用については、宮城理土木建築部長が「新たな事業の提案書は11月27日に受付を終了している。年度内に新たな事業を選定したい」と答弁した。
下地島にある耕作地について宮城部長は、「空港建設の際、地主会と当時の琉球政府が(下地島)全島一括買い上げで合意している。一部の土地は、元地主が『県が利用するときには補償を要求せず速やかに明け渡す』という確約書を交わした上で、農地として使用している」と述べた。
県産グルクンの水揚げ量が減少していることについては、島尻農林水産部長が「16年の水揚げ量は約60㌧で、08年の半分以下。伊良部漁協が行う地元中学生を対象とした漁業体験を支援するなど、水産業振興を推進していく」と答えた。
また、尖閣諸島問題について、座喜味氏は「尖閣をしっかりと守っていくのは必要。また、基地の負担軽減もしないといけない」と述べ、県の見解を求めた。
これに対しては、謝花喜一郎知事公室長が「よく理解できるが、沖縄は戦後70年経っても(米軍専用施設面積の)70・6%があるのは過重で、負担軽減を求めるのは重要だ」と応じた。
このほか座喜味氏は、沖縄の基地負担について「実態が軽減されないのは日米合同委員会に問題があるのはないか。アメリカ側の出席者がほとんど軍人で、軍人の論理になるのではないか」などと質問した。
最後に翁長雄志知事が「見識は私と全く同じ。同委員会のあり方にみんなで意見が言えるようになればありがたい」と答えた。