所有権移転手続き求め提訴へ/伊良部小中一貫校
市議会 「訴えの提起」を可決
伊良部島の小中一貫校の建設予定地である佐良浜中学校の一部用地が、何らかの事情により所有権移転登記が終わっておらず、現在まで個人名義になっていることについて、市議会は20日の最終本会議で市が提案した「訴えの提起」の議案を与党などの賛成多数で原案通り可決した。市は近く、時効取得を原因とする所有権移転登記手続きを求めて裁判所に申し立てを行う。
市は同校の校舎建築工事や電気設備、体育館・武道場建築工事のそれぞれ請負契約(請負総額25億1364万円)を業者と締結しており、21日には建設予定地で市や請負業者らが参加して「安全祈願祭」を行う。伊良部小中一貫校は、伊良部地区にある四つの小、中学校を統合し、2019年4月開校を目指している。
上里樹氏は、同議案に反対の立場から発言し「本来なら工事に入る前に所有権を移転して工事をするのが正しいやり方。他人の所有地に建物を建てるのは違法である。地主から、工事の差し止め請求や用地の原状回復を求められる場合がある。そういう場合は工事がストップし請負業者に多大な損害が生じる」と述べ、学校建設に当たっては、丁寧な作業を進めるべきだと指摘した。
賛成の立場から発言した佐久本洋介氏は「約50年近く佐良浜中の敷地として何ら支障なく問題なく使用されてきた。合併前の伊良部町時代に、何らかの手違いで所有権移転ができなかった。話し合いで解決できれば良かったが、やむを得ない」と述べた。
採決後、マスコミの取材に対し下地敏彦市長は「違法ではない」との認識を示した上で「長期にわたって学校用地として使っているのに対し、自分の土地だと所有権を主張している。再三にわたり話し合いをしているが応じない。きれいな形にするために訴えの提起を行った」と理由を述べた。
可決された議案書によると、当時の伊良部村は佐良浜中学校の用地に関した同土地を取得し、1971年4月6日から同中学校用地として占有。現在も旧伊良部町から受け継いだ宮古島市が佐良浜中用地として占有している。
同用地は当時、旧伊良部村が買収したが、何らかの事情で所有権移転登記が未了という。