38年間の歴史に幕/図書館北分館きょう閉館
郷土の知識と情報提供/館内見学で別れ
元県立図書館宮古分館である市立平良図書館北分館はきょう28日で閉館となり、38年の歴史に幕を下ろす。閉館前日の27日、閉館ミニイベント「バイバイ、ばんたが北分館」が開催され、元分館長の砂川幸夫さんが案内人を務める館内見学ツアーなどが行われた。参加者たちは長く親しんだ同館について振り返りながら別れを惜しんだ。
平良図書館北分館は1979年に県立図書館宮古分館として、地域住民から図書館用地として無償貸与を受けた学区共有地に建設された。その後、県が2009年3月末での図書館分館廃止を決定。蔵書を含め建物を市立図書館として活用したいとする市の要望を受け、県が無償貸与する形で10年4月、市立平良図書館北分館として再スタート。貸与は期間限定で、18年5月22日までに建物を県へ明け渡すこととなっている。蔵書は明け渡し以降もそのまま市が引き継ぐ。
市では明け渡しまであと約半年となる今年12月28日の休館を決定。年明け1月以降は貸し出し中の書籍の回収作業や蔵書の点検、蔵書の運び出し作業などを行う。明け渡し後は県が建物を解体し、用地を地主に返還する。蔵書は19年7月開館予定の総合図書館と公民館の複合施設である未来創造センターへ収蔵される。開館までの間、宮古関係の一部郷土資料は18年4月から市立城辺図書館で閲覧、貸出ができるようになる。
27日午前に行われた館内見学ツアーには約10人が参加。1階の閲覧室や中2階開架書庫、2階の大会議室、小会議室、和室、通常は関係者以外入ることのできない2階の閉架書庫を見学した。
案内人で同館完成時に分館長を務めていた砂川さんは建物の特徴として、光を多く取り入れるために壁がガラス張りになっていること、2階の閉架書庫は電動式の書架が設置されていることなどを説明した。
郷土資料が充実していることも特徴の一つと語る砂川さん。県内出版社が発売する全ての書籍を購入することで郷土資料の充実に努めていたと語る。
閉館イベントでは童話朗読やDVD上映なども行われた。
館内見学ツアーに参加した武田絵里さん(43)=平良=は「郷土資料が非常に充実しているので、すごくめずらしく面白いと思いずっと通っていた。建物も気に入っていたのでなくなるのはさびしい」と語った。
今月16日からは利用者が思い出などを書き込めるようにと中2階の壁に寄せ書きができるようになっている。壁には「よく本を借りたり勉強に来ていた」や「受験勉強、郷土史講座など読書に限らず貴重な時間を過ごさせてもらった」、「沖縄、宮古の本が多くあってとても勉強になった」などの書き込みが見られた。