「ともこ」号に農水大臣賞/城辺
荷川取さんが快挙/長年の改良の成果実る
雌牛たちがずらりと並ぶ畜産共進会。審査員が採点表を手に姿形や発育の程度などをチェックする。人に例えれば「美人コンテスト」に似ているという。昨年の県畜産共進会では荷川取衛さん(83)=字西里添=の「ともこ」号が最高賞の農林水産大臣賞(いわば「ミス沖縄」)に輝き「美しい牛づくり」にかけた長年の努力(改良)の成果が実った。宮古代表牛の農林水産大臣賞受賞は16年ぶりだった。
「ともこ号は産まれた時から、ほかの牛とは見た目が違っていた。生後3カ月からは共進会出品を考えて育てた」。和牛飼育歴が約40年と長い荷川取さんの「ともこ」号を見る目に狂いはなかった。
昨年7月末の宮古島市畜産共進会の若雌第1類で優秀賞に選ばれ、県畜産共進会への出品が内定。8月中旬の宮古代表牛を選抜する最終審査会で出品が決まった。
出品から県共進会(11月3日、南部家畜市場)まで2カ月間の「ともこ」号の飼育管理は「ナマヤスカームヌゥーアラッタン(簡単なことではなかった)」。毎日2時間、「ともこ」号を引き連れて歩いて脂肪を減らし体を引き締めた。格好よく立つ訓練もした。体を水で洗いブラシをかけ毛並をきれいにした。
審査終了後、「ともこ」号の農林水産大臣賞が発表されたとき宮古から応援に駆け付けていた畜産関係者から歓声が上がった。
荷川取さんは「自分の牛がまさか優勝するとは思わなかった。2回目の挑戦で一番になれてうれしい。宮古の畜産関係者に心から感謝したい」と喜びを語った。今後に向けては「ともこ号のように優勝できる牛を育てたい」と意欲を見せた。
宮古からはほかに若雌第1類で農業生産法人「大海」(上地良淳代表)=上野宮国=の「たいかいみさ」号、成雌1類で下地健治さん=下地入江=の「さとみ」号がそれぞれ優秀賞3席に選ばれた。
砂川栄市宮古和牛改良組合長は「荷川取さんは歳の高齢ながら長期間の飼育管理を頑張った」と祝福。「昨年はあと1頭入賞していたら宮古島市の団体賞は間違いなかった。今年は出品牛決定後の飼育管理を早いうちから関係者一体となって頑張り団体賞を取りたい」と決意を新たにした。
宮古の和牛改良は当初、体形・増体能力の高い牛づくりを目指した。1985年からは「体形、肉質、増体の良い牛づくり」を目標に計画交配を進めてきた。「ともこ」号(父北福波、母のりこ号、母の父平茂勝)も宮古の改良方針に基づいて計画交配をしてきた中で誕生した。荷川取さんは系統の良い母牛を頭飼うばりばりの畜産農家。荷川取さんの牛舎では県の種雄牛「琉太郎」も95年に生まれている。