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行雲流水
2018年1月6日(土)8:54

【行雲流水】(つちのえいぬ)

 平成30年、今年の干支はつちのえ戌ということで犬にまつわる話を探してみました。犬は古より人とのつながりが深く、洋の東西を問わず人とのかかわりを主題とする神話、伝説、物語や逸話となると枚挙にいとまがありません。その中から日本に昔から伝わる話を拾ってみました

▼日本書紀では日本武尊(やまとたけるのみこと)が信濃(今の長野県)の山中で白鹿に化けた山の神に苦しめられ、道に迷ったが何処からともなく現れた白犬に導かれて美濃(岐阜の南部)に出ることができた。白犬は吉兆ということです

▼今昔物語では飼い犬に命を救われた人の話がある。犬と共に大木の洞で一夜を過ごすことになったが、夜更けに起きだして激しく吠えて飛びかかる犬にたまらず外にでると犬は飼い主のいたところの上にとび上がり大蛇をかみ殺した。主はこの犬はわが命を救った無上の宝と知った、とある

▼日本の5大お伽噺のひとつ「花咲く爺」は江戸時代に広められ昭和になっても児童向けの絵本として知られていたが、いまでは書店で見ることはなくなった。「日本の昔話」としてその他の話と共にまとめられ収録されているだけである

▼花咲く爺のしろ犬は、富をもたらし御霊(みたま)となっても灰を花にかえて福をもたらす話だがそこには善を勧め悪を懲らしめる「勧善懲悪」の思想が込められている

▼科学技術が高度に発達した現代社会では神がかり的な話は受け入れてもらえないことが多々あるが意味のないものと否定されることはない。人間と犬との間に起こる奇跡と思える出来事ばかりでなく日常の暮らしの中でそのつながりの深さは世界に数多く知られているのである。

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