キビ植え 機械化へ/市が助成検討
全茎式で労力軽減
宮古地区にサトウキビの全茎式植え付け機が導入されている。サトウキビを全茎のまま使用できる点が最大のメリットで、苗を切る手間が省けて労力が大幅に軽減される。作業の効率化も図れる。本格的な運用は今年の夏植え以降になる見通しで、利用状況を見ながら導入台数を増やす。市は助成制度の検討に入る。
植え付け機はリース事業を使って8台導入した。トラクターの後方に装着して使用するタイプだ。機械にサトウキビを全茎のまま投入すると、機械が自動的に苗用にカットして圃場に植え付けていく。オペレーターとキビを投入する人の2人1組の作業になる。
課題は苗の確保。機械は芽を判別できないため、通常より多い苗を準備して密植する必要がある。苗を切る作業はないが、全茎のキビを刈り取る作業は従来のまま残る。十分な反収を確保する上でも、苗栽培に対する備えが重要になる。
導入に当たって市の担当課は「生産農家の高齢化及び作業の効率化を考える上でも機械化は徐々に進んでいく」とみており、植え付け作業においても機械化を促進する考え。新年度に助成制度を検討する方針だ。
キビ栽培は、生産者の高齢化に伴って機械化へ大きくシフト。収穫では機械刈りが全体の8割に達する勢いがあり、株出し管理機の利用率も右肩上がりだ。
専業農家の先細りと比例して作業の機械化は進んでおり、植え付けにおける機械化の流れも、こういった生産態勢が背景にある。
猛暑の夏植え作業は高齢者のみならず若年層の農家も敬遠する。少しでも労力を抑えようと自作の植え付け機を使用する農家も見られ、ひとたび機械植えが浸透すれば加速度的に普及していくものとみられる。
宮古地区の作型はここ数年で大きく変化。4~5年前まで主流だった夏植えは急減し、植え付け作業を必要としない株出し栽培が全体の6割を占めている。
ただ、株出しの反収が伸びていないほか、干ばつや台風などの自然災害に強い夏植えが全体の5割を割り込んでいる現状に関係機関は危機感を強める。機械化の促進と並行して、作型のバランスを図る施策の展開が求められている。