市の起債が限度額に/合併特例債
フル活用で大型事業実現
宮古島市が発行する合併特例債が、限度額の210億円超に達する。発行期限は5年間延長される見通しだが、限度額に近い市の新たな起債は難しい。発行期限の延長は自民党の総務部会が了承しており、今の通常国会で審議される。
合併特例債は、2005年度までに合併した市町村が発行できる財政上の優遇措置。合併で必要となる新しい庁舎や道路などの整備に充てられる。事業費の95%に充当できるほか、返済額の7割は国が地方交付税で負担する仕組みだ。
市はこの特例債をフルに活用した。現行発行期限の2020年度までに起債しようと大型プロジェクトに次々と着手。ごみ処理施設をはじめ、教育施設、葬祭場、し尿処理施設、保育所整備等に充当させた。未来創造センターや総合庁舎建設でも活用している。
最も大きい借入額は総合庁舎建設事業の58億3700万円。未来創造センターでは48億円を起債する。ごみ処理施設においても43億円を借り入れている。
ここまでの借入額の合計は214億円で、市町村規模等に応じて決まる発行限度額の216億7000万円に迫っている。発行可能額として2億5000万円残されているが、事業費の変動等を見越すと今後の起債は難しくなる。
こういった市の起債事情の中、発行期限の5年延長が国会で審議される。実現すれば東日本大震災の被災地で合併後25年間、他の地域では年間にわたり特例債の発行が可能になる。
発行限度額に達する宮古島市は延長の恩恵を得られないが、結果的に大型事業を具現化しており、合併で得た優遇措置を最大限生かした格好だ。