前里さんが研究成果発表/「水から考える」シンポ
【那覇支社】沖縄の島々での水環境保全などに取り組む活動を報告するシンポジウム「水から考える SDGs×沖縄・島じまの挑戦2018」(主催・県、琉球大学)が4日、那覇市の県立博物館・美術館で開催された。事例紹介では、2015年度まで宮古農林高校(現・宮総実高)で19年間教諭を務めた前里和洋氏(現・八重山農林高校教諭)が、宮古島における地下水保全の研究成果について発表した。
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、持続可能な開発目標という意味。国際連合が地球規模の課題に対応するため、2015年に設定したの世界目標の総称。
今回のシンポジウムでは、SDGsの課題の一つで、自然と人間の暮らしに欠かせない「水」の問題に関する取り組みついて、自治体・企業・市民・大学の立場で行われている取り組み事例が紹介された。
前里氏は、「宮古島における地下水保全の取り組み」と題して登壇。宮古島の土壌調査で化学肥料由来のリン酸が多く蓄積されていることを発見したこと、地下水を守るためにリン酸を再利用できる有機質肥料の研究・開発に成功した事例を紹介した。また、地下水を汚染する化学肥料の施肥量を抑えることに成功した取り組みも解説した。
宮古島での地下水保全に関する前里氏の取り組みは、2004年に日本水大賞のほか、『水のノーベル賞』ともいわれるストックホルム青少年水大賞も受賞している。
このほか、国際連合大学の沖大幹上級副学長による「水と持続可能な開発」と題した基調講演、「持続可能な島の暮らしと未来にむけて、わたしたちにできること」と題したステークホルダー会議も行われた。