県、輸送補助費を現状維持/農水産物不利性解消事業
【那覇支社】県農林水産部(島尻勝広部長)は17日までに、県産農水産物を本土市場へ出荷する輸送費を支援する「農林水産物流通条件不利性解消事業」について、18年度は現状の補助額を維持する方針を発表した。輸送業者による運賃値上げが相次いだ影響を軽減することが目的で、昨年10月に宮古地区で開いた説明会で示した補助額引き下げの方針を転換した。19年度以降の対応は未定。
同事業は、県産農水産物を本土市場へ出荷する際、遠距離で輸送費がかかる沖縄の不利性を解消するため、鹿児島までの輸送費相当額を支援するもの。2012年度から10年間計画で実施している。
17年度の補助率は、野菜や果樹を宮古島から出荷する場合は航空輸送で1㌔当たり最大115円。花き・水産物の航空輸送は同140円で、船舶の場合は全品目で同35円、モズクのみ同15円だった。宮古島市によると、16年度の輸送量は4645㌧、補助額は3億円を突破している。
県は昨年10月の宮古地区での説明会で、補助率を徐々に引き下げる方針を示していた。農家などの補助事業者に自立を促すことが目的だが、事業者からは「輸送費の負担が増えて経営が苦しくなる」などの声が上がったほか、県議会でも再検討の要請があった。また、輸送業者の運賃値上げも相次いだことから、方針を見直した。
県は、「輸送費値上げの影響による補助対象事業者の負担について検証が必要」としており、18年度の補助率は現状を維持する。一方で、19年度以降の補助率は未定という。
18年度当初予算案で、県は農林水産物流通条件不利性解消事業に27億8284万円(前年度比1716万円減)を計上。担当者によると、15年度の経済波及効果は196億2800万円に上る。