行雲流水
2018年3月13日(火)8:54
【行雲流水】(ユマニチュード)
3月6日、7日、市中央公民館で、県認知症疾患医療センターうむやすみゃあす・ん診療所(竹井太センター長)主催、ユマニチュード講習会が開催された。講習は講師に、ユマニチュード開発者のイヴ・ジネスト、通訳は本田美和子で、「認知症ケアの基礎から実践まで」をテーマに行われた
▼ユマニチュードは「人間らしいケア」と称される。生涯を通して、尊厳を持って「人間らしい」存在であり続けることを支えるためのケアである
▼それは世界人権宣言の「すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利において平等である」という思想に沿っている
▼開発された技法は多岐にわたるが、基本は「見る」、「話す」、「触れる」、「立つ」の四つの柱からなる。「見る」は、認知症の人の正面で、目の高さを同じに、近い距離から、長く見つめることで、お互いの存在を確認する。「話す」は、優しく、前向きの言葉で、頻繁に話しかける。「触れる」は、母親が赤ちゃんに触れるように広い面積で、ゆっくり、優しく、不安のないように触れる。「立つ」は、立つことで空間的存在を認識させる。また、筋肉の低下を防ぐ
▼人間らしいケアで「自分が大切にされている」ことを実感させると、脳の発達を促し、愛情ホルモンとも言われるオキシトシンが分泌され、幸せな気分になることも示された
▼講習会には494人の市民が参加した。社会の高齢化で認知症対策はますます重要な課題となる。この講習を契機に、医療、介護施設や家庭で、より「人間らしいケア」が広がることを期待したい。