2件の指定管理者可決/市議会総務財政委
経営改善なければ解除/市に事態の重要性指摘
開会中の市議会(佐久本洋介議長)3月定例会は23日、付託された議案を審査する総務財政委員会(山里雅彦委員長)が行われ、市から提案された2件の指定管理者の指定についての議案を与党などの賛成多数で原案通り可決した。うち、1件については基本協定の中で「経営改善なければ契約解除」などとする条項を新たに追加する。指定管理者へ応募した事業者の提出資料にミスが目立ったほか、指定管理をしている施設の稼働率の低下が問題となった今回の案件。市も資料に示された数字の根拠や整合性の説明ができず、審査が三度にわたり途中で打ち切られるなど混乱した。普段は当局寄りの発言が目立つ与党議員からも「市当局、選定委においては事態を重く受け止めてほしい」と厳しく指摘した。
原案通り可決したのは、伊良部長浜の「市総合交流ターミナル指定管理者の指定について」、城辺保良の「宮古島海宝館指定管理者の指定について」。いずれも継続。
交流ターミナル指定管理についての討論では、濱元雅浩氏が反対の立場から意見を述べた。
濱元氏は、同施設の稼働率が20%台と低いことを指摘し、選定委員会の審査基準「施設の質を維持・向上させるものである施設」に合致しているのかを疑問視した。決算に示された過去3年間の目標と実績に差があるとし「この施設の質を向上させていくような計画ではないと判断する」と述べた。
同じく反対の立場から國仲昌二氏は、指定管理者を監督する市の立場を強調。「(指定管理者に応募する事業者が提出する)事業計画書は、指定管理者と当該施設の所管課長が協議して確定させるとなっているが、今回の指定管理者の資料を見る限り、市はそういった対応をまったくしていない」と指摘した。
その上で「これは事業者が指定管理者として適任かどうか以前の問題で、市は指定管理者制度をどういうふうに考えて市民サービスの向上を図っていくかという観点がまったく抜けている」と市の対応を厳しく批判した。
これに対し賛成の立場から討論を行った新里匠氏は、20%台の施設稼働率を問題視しながらも「契約相手方の運営や雇用している職員の生活を考えれば、協定を結ばないのは影響が大きい」と述べた。
また今回、市が提案した「経営改善が見られないときには契約を解除できる」との条項を基本協定書に新たに盛り込むことを示して「改善の機会を与えるという観点や、地域の雇用を守るという観点から賛成する」とした。
海宝館指定管理者の指定について國仲氏は「指定管理者の目的や選定基準、監督といった部分において、市がきちんと対応していない」として反対した。
前里光健氏は、市と事業者が結ぶ基本協定の中に「市に収益の2分の1を納付すること」「毎月、管理業務や徴収実績などの報告をすること」などを新たに条項に加えることを強調。さらには市当局にも十分な審査ができるような環境整備を求めたことを挙げた上で「今回、多くの不備が重なり三度にわたる審査や採決が延長され、信ぴょう性が問われたことは事実」と述べ、市当局や選定委にチェック体制の強化と再発防止を強く求めた。