「回復者の会」が発足/沖縄ハンセン病
知念共同代表らが報告
【那覇支社】ハンセン病療養所の宮古南静園と沖縄愛楽園を退所した回復者らが8日、県庁で記者会見し、ハンセン病問題の啓発や生活支援の充実を目指して、1月に「沖縄ハンセン病回復者の会」が発足したことなどを報告した。共同代表は、宮古南静園退所者の知念正勝さん(84)と沖縄愛楽園退所者の平良仁雄さん(79)が務める。同日には、県への要請も行った。
両代表は会見で、2009年に「ハンセン病問題基本法」が施行されたものの、退所者の高齢化が進み、抱える課題も深刻さを増していると強調。差別や偏見を恐れ、隠れ続けて生活したり、地域の医療機関での受診をためらい、後遺症を悪化させる回復者もいる現状を指摘した。
その上で、後遺症の治療ができる支援体制の整備や、市民や学校現場での人権啓発・教育の取り組みなどを訴えていくとした。
また、知念さんらは同日、砂川靖県保健医療部長を訪ね、後遺症などの治療や介護を安心して受けられるよう、県の支援体制の整備などを要請した。
翁長雄志知事への要望書では、▽回復者への訪問看護の実施▽地域生活を支える相談・同行・交通支援体制の整備▽ハンセン病問題への啓発事業の強化▽県が主体の協議会の設置-など10項目を求めている。
会見で、知念さんは「砂川部長は、(要望内容に)かなり関心を持っている印象を受けた。協議会ができれば県と当事者が互いを知ることで、(要望を)実行に移せるのではないかと期待している」と述べた。
要請に同席した亀濱玲子県議は、「砂川部長が『要請した中には、すぐに応えられないものが多いので、継続して協議の場を設けていきたい』と述べたのは、今日の大きな成果になった」と話した。
ハンセン病回復者の会は、退所者や非入所者約30人と支援者約20人で構成している。