行雲流水
2018年5月12日(土)8:54
【行雲流水】(水事情)
「伊良部南区で4日間断水」5月1日、宮古毎日新聞の一面トップ記事の横見出しです。縦見出しは続けて「1231全世帯に影響」と追い討ちをかける。大型連休の始まりだという時期に4日間も断水するとは何事だと瞬時に思ったが、記事をみて事件の内容が分かった
▼大型連休が始まっていっきに水の需要が増えたためだ、というのが市長の説明だ。ホテルなどの建設で大量の水が使われ、観光客や帰省する人々が急激に増え水の供給が追い付けなかったということと給水システムがネックになっていたことも原因だと説明されている
▼要するに島外から大勢の人が押し寄せてきたために水が不足したということだ。市長の説明を受ける形で、市の上下水道部は緊急対策会議を開いて「ホテルなどに節水を呼びかける」と同時に「給水施設の整備に取り組む」ことを決めたと2日の新聞は伝えた
▼上下水道部が対応できることはこれが限界だろう。水源事情まで論議する場ではないと暗黙のうちに認識されたのではないか。宮古島の住民が頼りにしている地下水は無尽蔵ではない。上水道の水脈は限られていて降雨量に左右されやすく渇水の時期になると断水もあり得ることを彼らは知り尽くしているはずだ
▼ホテル建設ラッシュ、観光客誘致で島の経済が活性化することに異論はない。しかし、島の住民の命と生活をささえる地下水を守るためには入域観光客数にある程度の規制があっていいのではないか
▼30年前の話だが、神奈川県の真鶴半島にある真鶴町では町民の飲料水を守るために収容能力100人以上の旅館やホテル等にたいしては水道法第15条に抵触する恐れがあるといわれながら新たな給水はしないといった条例を制定している。(凡)