70年代の祭祀よみがえる/比嘉さんが写真編集
上井さんの写真集出版
写真家の比嘉豊光さんらは25日、市中央公民館講座室で会見を開き、1970年代の宮古島の祭祀や当時の人々の暮らしなどを撮影してきた故上井幸子さんの写真を比嘉さんが編集した写真集「太古の系譜 沖縄宮古島の祭祀」(六花出版)が出版されたことを報告した。
上井さんは1934年静岡県生まれ。72年から沖縄本島や宮古島を訪れ、83年まで撮影活動を行った。2010年11月には写真展「宮古島の祖神(ウヤガン)祭~原始の女たち」が島尻パーントゥの里会館で開催された。
写真集には上井さんが撮影した島尻、狩俣、佐良浜での祭祀や大神島の人々の様子などを撮影した約200点が収録されている。
当時、祭祀などの研究のため来島し、上井さんとよく行動をともにしていた女性史研究家のもろさわようこさんへ上井さんの親族から上井さんが亡くなったとの連絡が入り、残されたフィルムについて相談を受けた。そこでもろさわさんが島尻での写真展に携わっていた比嘉さんへフィルムの引き取りを依頼。比嘉さんが上井さんの親族から引き取り、今回の写真集出版に至った。
出版に当たり、もろさわさんが書いた当時の宮古島の様子や上井さんとの思い出なども写真集の巻末に掲載されている。
会見には写真集出版に当たり比嘉さんに協力した奥平一夫さんと宮古郷土史研究会会長の下地和宏さんも同席した。比嘉さんは写真集出版を報告するとともに来年1月には宮古島で上井さんの写真展を開催する予定であることを紹介した。上井さんの写真については「どれくらい現場に入ったかが分かる。写っているおばぁたちが何を見てほしいのかということを見ることができる」との考えを示した。
奥平さんは「これほどまで奥深く撮れているのかと驚いた」、下地さんは「女性の視点とは(男性と)これほど違うのかと思った」とそれぞれ語った。