大漁と航海安全祈願
“ユッカヌヒー”各地でハーリー
向こう1年間の航海安全と豊漁を願う海の祭典「ハーリー(海神祭)」が旧暦5月4日(ユッカヌヒー)に当たる17日、佐良浜漁港など10カ所の会場では、メインイベントの爬龍舟競漕で熱気に包まれた。屈強な若者たちが「ゴーヘイ、ゴーヘイ」と掛け声に合わせて力強いかいさばきで水しぶきを上げた。観客らは、力の限りこいで速さを競うレースに歓声と興奮状態に。この日は日曜日が重なり、各会場とも大勢の人でにぎわった。
ハーリーは、各地の一大イベントの一つ。宮古での伝統的なハーリーは、1894(明治27)年に佐良浜で最初に実施されたのが始まりとされ、今年で125年。
この年に糸満漁師が宮古の海で漁業を展開。旧暦5月4日までに糸満に帰港する計画であったが、不安定な天候で延期。そこで糸満漁師は佐良浜漁師にハーリーの仕方を指導し、糸満と同じ日の旧暦5月4日に双方は爬龍舟競漕を行ったと伝わる。
佐良浜漁港では、各漁船が色鮮やかな大漁旗を掲げた。漁師らは船上で祝い酒を酌み交わし、ハーリーを盛大に祝った。子どもから大人まで約300人がパレードに参加し、佐良浜ハーリー(主催・伊良部漁協)の幕開けを告げた。
式典で、主催者を代表して漢那一浩組合長は「海の神様に感謝し、大漁と航海安全を願ってください」とあいさつ。下地敏彦市長は「漁師の皆さんがたくさん魚を取って島の活性化に寄与してほしい」と激励した。
特設会場では、佐良浜保育所の園児や佐良浜小学校の児童らが元気いっぱいに踊りを披露。佐良浜中学校の生徒たちは勇壮なエイサーを繰り広げた。佐良浜学区婦人会など各団体は趣向を凝らした踊りを紹介。観客らは、各出演者に大きな拍手を送っていた。
佐良浜出身の下地澄子さん(67、旧姓国吉)は城辺から訪れた。「30年ぶりにハーリーを見て、とても感動した。改めて佐良浜出身に誇りを持った」と声を弾ませた。