行雲流水
2018年6月19日(火)8:54
【行雲流水】(スポーツを楽しむ)
スポーツは楽しい。今、行われているサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会の熱狂ぶりをみても、スポーツは世界中の人を魅了していることが分かる
▼スポーツには心身の高揚があり、ドラマがある。より高い可能性を追求する姿は美しいし、見て楽しい。「するスポーツ」はさらに人を引きつける。子供たちは、どんな名勝負を見るよりも、自分たちで行う草野球やサッカーを好むものである。社会人にとっても、「体力の向上、精神の充足感、よき社会的関係の形成」にスポーツは重要な役割を果たしている
▼ところで、近年、勝利至上主義や商業主義でスポーツがゆがめられるケースが多い。悪質タックルやパワハラ等を生む土壌の刷新が求められる
▼学校の部活では、強健な身体とスポーツマンシップを培う。「フェアでベストを尽くす、そして相手を尊重する」精神である。時に、理不尽な指導、スポーツ科学を無視した指導、家庭学習への支障などが指摘されていることも十分に考慮したい
▼選手の年収が高すぎることは、社会の価値基準を混乱させる。イングランドのサッカー、プレミアリーグは1試合で億円の放映料を獲得し、選手の年平均給与は約5億円である。英紙「デーリー・メール」は「プレミアリーグはもはやスポーツではなく、道徳的に破綻している」と評している
▼かつて、ナチスはオリンピックをナショナリズムの高揚に利用した。スポーツのおかれた社会状況に関心を持ち、代償行動にせず、熱狂もほどほどに、気軽にスポーツを楽しみたい。(空)