南静園での戦争体験聞く/宮総実で平和学習会
ハンセン病差別の歴史も
宮古総合実業高校(平良淳校長)で20日、全校生徒を対象とした「6・23平和学習講演会」を開催した。国立療養所宮古南静園の退所者で戦争体験者でもある知念正勝さんと上里栄さんを講師に迎え、ハンセン病差別の歴史や南静園での戦争体験などについて話を聞いた。
知念さんはハンセン病について、日本では「恐ろしい伝染病」と誤った情報が発信され続け、強制隔離政策が行われた結果、患者は世間から激しい差別と偏見を受けたことを説明した。
治る病気であり、感染しても発症することは少ない「恐ろしくない病気」と分かり、隔離政策がなくなった今も、それまでに受けた差別の大きさから、多くの退所者がハンセン病だったと言えないでいる現状が問題との考えを示す。
その上で「ハンセン病についての正しい知識を皆が持ち、世界から一日も早く差別が解消されることを願っている」と語った。
上里さんは南静園に入所していた10歳の時に戦争を体験。兄が戦闘機の機銃掃射を受け足を負傷したが、治療する手段がなく、約2カ月後に亡くなったという。「何も治療ができなくて残念。治療できていれば元気になっていたかもしれない」と語る。
機銃掃射だけでなくマラリヤや栄養失調などでも多くの人が亡くなったことを説明する上里さん。「私の体験からも戦争は絶対にしてはいけないと思う」と訴えた。
生徒を代表して生徒会の友利政希会長が講演に感謝を述べるとともに「戦争の陰で病気にかかった人たちを差別していたことは知らなかった」などと語った。