み霊慰め不戦誓う/慰霊の日
恒久平和の実現を
市、全戦没者追悼式平和祈念式
沖縄県は23日、「慰霊の日」を迎えた。宮古島市の2018年度全戦没者追悼式と平和祈念式がマティダ市民劇場で開かれ、参列者が戦没者のみ霊を慰めて不戦の誓いを新たにした。73年前の戦争で犠牲になった宮古の関係者は3000人を超える。遺族会の川満俊夫会長は「あの忌まわしい戦争の惨禍を繰り返してはいけない」と述べ、戦争体験の継承を訴えた。不戦と恒久平和の実現へ、会場は鎮魂の祈りに包まれた。
戦没者追悼式には遺族会ほか児童生徒、一般市民の多数が参列した。正午になると黙とうを捧げ、戦没者のみ霊を静かに慰めた。
下地敏彦市長は式辞を読み上げ、「戦火に倒れた若者たち、島の平和と発展を願い、家族の安泰を念じながら苛烈を極めた戦場に倒れた方々、あるいは戦後飢えや病に倒れた方々の無念さに思いをはせると尽きることのない深い悲しみが込み上げてくる」と哀悼の意を込めた。その上で「子や孫たちに戦争体験をさせないという恒久平和の誓いを引き継ぎ、明るく豊かな宮古島市を築く」と述べた。
市戦没者遺族会の川満会長は「戦争の記憶が薄れている今日、日本がたどった歴史を繰り返し学び、平和に思いをなすことは極めて重要だ」と強調。「あの忌まわしい戦争の惨禍を繰り返してはいけない。み霊の犠牲を無にしないためにも温もりのある社会づくりに頑張りたい」と決意した。続いて、南小学校の宮國藍さん、久松中学校の上田真子さん、伊良部高校の下地生吹さんが平和を考える作文を朗読した。
上田さんは、今も73年前の戦争に苦しむ祖母の存在に触れ「戦争は終わっていません。悲しみは消えないのです」と訴えた。戦争の風化を懸念し、「うわべだけの薄っぺらい言葉で戦争を理解したような勘違いをしてしまったとき、人は痛みを忘れ、過ちを繰り返してしまう気がします」などと話し、体験者の話を聞くことが大切だと結んだ。
市議会の佐久本洋介議長と県宮古事務所の稲福具実所長は来賓あいさつの中で戦没者を悼み、それぞれ戦争という惨禍を語り継ぐことの重要性を語った。
この後、代表による献花が行われ、下地市長や遺族会、児童生徒の代表らが花を供え、平和を希求し続ける誓いを新たにした。
最後にみやこ少年少女合唱団が合唱を響かせた。参列者は伸びやかな歌声に耳を傾けて祈り続けた。