島の固有種保全で連携
生息状況や生態把握へ/官学の関係者が連絡会議
宮古島の希少種保全、外来種問題(イタチ、クジャク)に係る複数の事業関係者による連絡会議が18日、市生活環境部環境衛生課(市クリーンセンター)で行われた。絶滅危惧種に指定されている「ミヤコカナヘビ」など島の固有種保全に向けた会合で、生息状況や生態の特徴、イタチやクジャクなど外来種による捕食の実態なども把握する。この日は、関係機関がより連携を密にして種の保全に取り組んでいくことを確認した。
連絡会議には国、県、大学など官学の担当者が参加。島の希少な固有種を「日本の宝」と位置付け、その保全に向けてそれぞれの分野における報告を行い、今後の課題を共有した。
ミヤコカナヘビは、全長が雄・雌ともに約30㌢ほどで、体長の約75%を占める長い尾が特徴。国と県の絶滅危惧種に指定されているほか、国内希少野生動植物種でもある。
宮古島・伊良部島・来間島などに分布しているが、宮古島以外ではほとんど発見されない状態が続いているという。
琉球大学熱帯生物圏研究センターの戸田守准教授によると、宮古は40万年前まで海没状態だったとする地史に対して、ミヤコカナヘビはそれよりも古い種であり、島の地史とも整合しないとしている。
こうした背景を踏まえ、分かっていない部分が多い種だからこそ、重要な生き物であるとしている。
さらに、ミヤコカナヘビは、沖縄本島や八重山のカナヘビとは系統的には別で謎が多く、魅力的な種としている。
そのミヤコカナヘビは、90年代ごろから数が大幅に減少。その要因と保全対策が求められている。
環境省では今年度、生息地の減少および劣化対策として外来種(イタチ・クジャク)による捕食圧対策や業者等による違法捕獲対策、農薬影響の評価などを課題として位置付けた取り組みを展開している。
国立研究開発法人森林研究・整備機構「森林総合研究所」の亘悠哉主任研究員は、宮古に広く分布するインドクジャクが「在来種の脅威になりうる」としている。
さらに、クジャクの食性とミヤコカナヘビの生息状況を把握することの必要性も訴えた。
また、県の環境部自然保護課によるニホンイタチの生息調査では、そのふんからミヤコカナヘビが宮古島と伊良部島で3例確認されたことも報告され、ニホンイタチが宮古諸島の希少生物に大きな影響を与えていることが分かったとしている。
そのほか東京の上野動物園や北海道の円山動物園で複数の個体が現在飼育され、繁殖が行われていることも報告され、飼育技術の知見を蓄積していることも報告された。
今回の会議は、市の関連部署、県の自然保護課、環境省、日本動物水族館協会、WWFジャパンや大学関係者などが参加して行われた。