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行雲流水
2018年7月24日(火)8:54

【行雲流水】星空

 「おもろ」の、太陽賛歌は鮮烈だが、天球にくりひろげられる星空の印象もあざやかである。「ゑけ、あがる三日月や/ゑけ、かみぎや かなまゆみ」(あれ! あがる三日月は/神の金真弓)。続いて、あがる赤星(明け星、金星)は神の金細矢、あがる群れ星(すばる)は神のさしくし、あがる横雲(天の川)は神の愛御帯である


▼ギリシャ神話では、金星はビーナスで、美と愛の神である。詩にもうたわれている。「夕つつ(明星)は輝く朝が八方に散らしたものを、みなもとへ連れかえす。羊をかえし、山羊をかえし、幼な子をまた母の手に連れかえす」。宮古では、金星(宵の明星)をユズフォーブス(夕食時にでる星の意)と言った。畑労働から、わが家の楽しい夕げに向かわせる星である

▼賢治の銀河鉄道列車の運行起点は白鳥座で、終点は南十字星である。南十字星の隣に見えるケンタウルスを八重山では「パイカブシ」(南の星)と呼び、農耕の季節を知る目じるしにした

▼ある晩、私たちに見える星はせいぜい2000個、その1億倍の星が天の川銀河にあり、そのような銀河が1000個以上あるのが大宇宙

▼哲学者カーライルは「どうして、誰も、私に星座のことを教えてくれなかったのだろう」と星座を知らずに年を取ったことを悔やんだという▼『星の界』は歌う「月なきみ空にきらめく光/ああその星影希望の姿/人智は果なし無窮の遠(おち)に/いざ、その星影、きわめも行かん」。夜空を見上げれば、そこに、いつでも、宇宙が見える。幸いなことである。(空)

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