翁長雄志知事、死去
肝臓にがん転移/県知事選、前倒し実施へ
【那覇支社】翁長雄志知事が8日午後6時43分、浦添市の病院で死去した。67歳だった。県は同日夕、翁長知事について「意識が混濁している状況」と発表。謝花喜一郎副知事が会見で「一日も早い回復を願っている」と語っていたが、かなわなかった。翁長知事の死去で、11月に予定されていた県知事選は前倒しで実施されることになる。
翁長知事は今年4月、膵臓(すいぞう)にできた腫瘍を摘出する手術を受けていた。5月には、腫瘍が悪性のがんだったことを公表したが、その後も慰霊の日の式典に出席するなど、抗がん剤の治療を受けながらも公務を行ってきた。
7月27日には、米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐり、埋め立て承認の「撤回」手続きに入ると表明し、引き続き職務に強い意欲を示していた。一方で、先月から北海道や東京への出張取りやめが続いたため、知事の健康を不安視する見方もあった。
謝花副知事によると、翁長知事は7月30日から再入院。今月4日に病院で面談した際には、肝臓にがんが転移していると明かしていたという。その後、7日から徐々に意思決定に支障を来すようになり、8日朝には肝機能障害、腎機能障害を起こして意識混濁の状況となっていた。
翁長知事は、那覇市議会議員2期、県議会議員2期、那覇市長4期を歴任し、自民党県連幹事長も務めた保守の重鎮だった。
一方で、辺野古移設をめぐっては、2013年12月に仲井真弘多前知事が行った埋め立て承認を強く批判し、14年の県知事選では「オール沖縄」グループに擁立される形で出馬。仲井真氏に約10万票の差を付けて圧勝した。
15年には埋め立て承認を取り消し、国と法廷闘争を繰り広げたが、16年に最高裁で敗訴が確定している。今年に入り、名護市長選、石垣市長選などで自身が推す候補が敗北するなど厳しい政治情勢の中でも、辺野古移設の阻止を掲げて承認「撤回」の手続きに入ったばかりだった。