農地仲介59件で52・8㌶/事業浸透で実績伸びる
課題は貸し手の発掘
宮古島市
県農業振興公社の2017年度農地仲介実績がこのほどまとまった。宮古島市において農地を借り受けたのは54・1㌶でそのうち貸し借りを仲介した件数は59件、面積は52・8㌶(表は公社の借り受け実績)に上り、県内では石垣市に次いで2番目に高い実績となった。農地の有効利用を裏付ける一方で、今も農地が足りないという現状も浮き彫りに。17年度末時点で150人が待ちの状態にあるといい、貸し手の発掘が課題と言えそうだ。
同事業は、農地中間管理機構が農地を借り受け、集積・集約化した上で担い手に貸し付ける。農地の有効活用が狙いで、年度から実施されている。
機構を利用するメリットは、賃貸借の手続きや賃料のやり取りといった手間が省けること。相対の際に発生し得る賃料のトラブルが回避されるほか、契約期間満了時には農地が返却されるという安心感もある。
ただ、14~15年度は事業内容が浸透せず、仲介の成立件数はわずかに3件、面積は1・3㌶だった。
実績が上向き始めたのは16年度以降だ。同年度の仲介は35件、貸し付け面積は35㌶と一気に伸びた。17年度は21件17㌶、18年度は8月7日時点で11件15㌶を仲介しており、貸し付け面積が限られる中でも確実に実績を伸ばしている。
県内他市町村の現状をみると、借り受け面積が50㌶に達しているのは宮古島市と石垣市、竹富町のみ。機構が重点地域とする自治体の中でもこの3市町が突出した実績を挙げている。
仲介した畑の9割はサトウキビ栽培で利用されている。残りは葉タバコの栽培や草地としての活用だ。農地の有効利用及び生産者の収益向上を図る管理事業の成果が表れている。
実績が伸びた要因は事業の浸透が大きい。機構が仲介するため、貸し手も借り手も安心して賃貸借を行えるという事業スキームが利用の促進につながった。
ただ、市の担当者は「まだまだ農地が不足している状況にある」と話す。「事業の浸透で、今後も農地を担い手につなぐ実績を伸ばしたいが、貸し手の発掘は課題になる」と語った。