行雲流水
2018年9月6日(木)8:54
【行雲流水】(生産性)
サトウキビ農家の目標の一つに「反収アップ」がある。反収(10㌃あたり収穫量)を上げるため、土づくり、病害虫・雑草対策などの講習会は盛況のようだ(8月31日本紙報道)
▼経済用語の「生産性」とは、端的にいえば反収のことだ。投入資源1単位あたり産出高だ。宮古島の反収が6・6㌧で伊良部島が7・2㌧なら、「土地の生産性」は伊良部島が高いということになる
▼あらゆる資源(人、物、金、時間)に生産性がある。よく聞く言葉「時は金なり」は時間の生産性、「予算のムダ遣い」あるいは「費用対効果」はお金の生産性のことだ
▼単に「生産性」と言う場合は、労働生産性を指す場合が多い。労働者1人あたりの付加価値額のことだ。付加価値とは、商品の生産・流通過程で新しく付け加えられる価値。具体的には、売上高から原材料費・減価償却費を差し引いた額だ。この付加価値額が賃金や利潤の源泉である
▼賃金水準は業種や企業によって異なる。生産性に差があるからだ。生産性向上余地の大きい業種と小さい業種があり、個々の企業の創意工夫にも差異がある。賃金は多様だが、最低ラインは法定事項であり、一律だ
▼沖縄の最低賃金は、今年10月3日から時給762円に引き上げられる。東京は985円、鹿児島は761円だ。最低賃金の地域間格差は、主として産業構造に由来する。賃金水準の上昇は望ましいことだが、生産性向上が伴わなければ「人件費倒れ」を招く。生産性向上に努めることは、経済活動の基本であるといえるのでは。(柳)