農作物被害が懸念/台風24号
停電、最大で7000戸/空の便きょうから再開
台風24号は29日、宮古島地方を暴風域に巻き込みながら北上を続けた。この台風の影響で宮古島市内では最大7000戸で停電が発生し、住民生活に支障を及ぼした。避難した住民は18人。強風によるサトウキビを中心とした農作物被害の広がりも懸念される。2日間運航を見合わせていた航空各社はきょう30日から運航を再開する見通しだ。
■農作物
農林水産物はサトウキビの被害が懸念される。新植夏植え圃場の被害は比較的小さいが、株出しや春植えの圃場で葉が裂ける被害が目立った。一部で根こそぎ倒れる被害も見られる。
株出しや春植えのキビは横倒しになった。各地で葉の裂傷は見られるが、折損系の被害は少ない。
心配された新植夏植えの被害も最小限のよう。畝が崩れて圃場が平面になる被害も見られなかった。
城辺の北海岸沿いでは根こそぎ倒れているサトウキビが確認された。特に茎数が少なく、株間が広い圃場での被害が際立った。
関係機関・団体は30日にも被害調査を実施し、全体の被害額を出す。被害は比較的小さくなるという見通しもあるが、詳細な調査結果が待たれるところだ。
製糖工場関係者は「見た限りでは大きな被害はないのではないか。夏植えの被害も小さい」と話した。
■避難所
大型で非常に強い台風24号の接近に伴い、宮古島市は宮古島地方への暴風警報発表を受け28日午前10時36分、長濱政治副市長を本部長とする市災害警戒本部を設置した。また、避難準備・高齢者等避難開始情報を発令した。台風の接近に備え、市が設置した8カ所の避難所(市役所平良庁舎、城辺庁舎、上野庁舎、下地公民館、伊良部庁舎、来間離島振興総合センター、大神離島コミュニティーセンター、池間地区防災センター)には合わせて16世帯、18人が避難した。
市役所平良庁舎1階に設けられた避難所に28日午後3時30分ごろ、平良狩俣から避難してきた40代男性の家族3人は「台風での避難は初めての経験。停電なども心配なので、避難してきた。避難した方が安心と判断した」と話し、設置されたテレビの台風情報を注意深く見ていた。
宮古島市は暴風警報が解除された29日午後3時6分、市災害警戒本部を解散し、同時に設置した8カ所の避難所を閉鎖した。
■停電
宮古島市では台風24号接近の影響で28日から停電が発生した。沖縄電力によると一時、最大で7090戸が停電となった。29日午後7時現在、3320戸が停電していて、同社では早期の全面復旧を目指し作業を進めている。
沖縄電力では28日午後5時時点で平良の下里、西里、東仲宗根、西仲宗根、松原、東仲宗根添の700戸で台風による停電を確認した。その後いったん復旧したが、午後7時には平良東仲宗根添と城辺の比嘉、長間、西里添の180戸で停電が発生すると、その後は時間を追うごとに停電エリアが拡大し、戸数は増加。29日午前11時時点では市内全域で7090戸が停電した。
29日午後7時現在では、平良、城辺、下地、上野地区で3320戸が停電している。
停電の影響で、市内の一部信号機は点灯できない状態となった。
同社によると、高圧配電線が復旧しても各家庭への引き込み線が断線している場合、停電は解消しないことから、地域一帯の停電が解消しても停電が続いている家庭は沖縄電力まで連絡するよう呼び掛けている。
問い合わせは同社宮古支店管内コールセンター(電話0120・586・707)まで。