行雲流水
2018年10月9日(火)8:54
【行雲流水】(サシバの渡り)
寒露の節気、サシバがやって来る。サシバは日本列島の各地で繁殖、夏を過ごしたあと、越冬のため、愛知県の伊良湖岬、次に鹿児島県佐多岬に集結、宮古の伊良部島を中継地に、台湾やフィリピン方面に向かう
▼精悍な姿と飛翔の美しさで人を魅了するサシバであるが、今、絶滅の危機に瀕している。その保全は重要な課題で、その一環として、この10月13日(土)午後1時から、伊良部中学校で日本自然保護協会の主催でフォーラム「宮古から世界へ広がるサシバ保護」が開催される
▼フォーラムでは久貝勝盛氏が、宮古で密猟ゼロを達成した取り組みを報告、「宮古島から世界へ広がるサシバ保護」と題して山﨑亨氏が語る。また、サシバが縁で宮古島市と交流都市を締結した栃木県市貝町から、遠藤孝一氏が「サシバの里づくり」の構想を紹介する。さらに、東淳樹氏がサシバの研究と保全について、出島誠一氏が「下地島サシバの森づくり」の構想について提言する
▼なお、同協会が募集したサシバ俳句コンテストの授賞式が行われる。宮古の生徒たちがサシバへの思いをこめた作品が日本全国へ発信される。楽しいことである
▼サシバは、人に感情移入や、想像の翼を広げさせる。大空にサシバを追ったあの友は美空ひばりが好きだった。滑空する直線は強固な意志。曲線は舞い、高く上昇する鷹柱は昇華、または祈りである
▼鷹柱からの滑空はグライダーのように体力を消耗せずに滑る省エネ飛翔である。いくつもの困難を乗り越えて、サシバは生命の賛歌を飛んでいる。(空)