保育士集まらず/宮古島市
復職事業に参加少なく/賃金、ブランク要因か
「潜在保育士」の復職を支援する市の事業が軌道に乗り切れていない。有資格者で保育業務に就いていない人(潜在保育士)の復職を狙う事業だが、過去3回のイベントへの参加はわずか4人にとどまる。市が案内を出した潜在保育士68人は1人も参加していないのが現状だ。市は「保育士の処遇改善や、復職に向けての優遇措置を伝えたい」と訴え、今年度最後のイベントへの参加を呼び掛けている。
この事業は、資格を有しながら保育の現場から離れている人や、別の仕事に就く市民を対象にセミナーや相談会を開き、復職を支援することが狙い。事業を通して不足する保育士を確保し、保育環境を充実させて待機児童の解消を図る。
市はこの事業を市議会で説明したほか、ホームページにも載せて周知した。潜在保育士68人には事前に案内状を出してイベントへの参加を呼び掛けていた。
だが、9月30日に開いた最初のイベント「復職セミナー」への参加者はわずかに2人。今月14日の復職相談会も2人(1回目とは別の市民)だけだった。さらに同日予定していた現役保育士との座談会は希望者ゼロで開催できなかった。
参加した4人は、市が案内状を出した潜在保育士ではなく、新聞などで情報を得た人たちだった。
復職に関心を示す潜在保育士が少ない要因はさまざまだが、関係者は「働きに見合った賃金がもらえないと考えている人がいる。離職から今までのブランクに不安もあると思われ、今の仕事を辞めてまで保育士に戻る気持ちにはなれないのではないか」とみる。
こうした現状を踏まえて市は計画を見直した。当初5回開く予定だったイベントを4回とし、来月18日のワークショップを最後に今年度の事業を締める。
ただ、保育士不足を解消するに当たって、潜在保育士の復職を支援する取り組みは次年度も継続する考えだ。現場で働いた経験がある担当課の職員は「保育士として、園児に教えていたようで教えられていた時間の大切さ、やりがいを共有しながら復職をサポートしていきたい」と話した。
今年度最後のイベントは来月18日午後2時から市働く女性の家で開かれる。保育現場で使える手遊びのほか沐浴(もくよく)やおむつ交換の方法を学べる。希望者には復職に関する制度の説明資料も配布する。参加希望者は児童家庭課(電話73・1966)子ども政策係まで。