子の誕生 先祖に報告/神酒回し、神詩歌い
来間島で「ヤーマスプナカ」/きょうパレード
旧暦9月の甲午の日に行われる下地来間島最大の伝統行事ヤーマスプナカが29日、2日間の日程で始まった。初日は3兄弟の家元で子孫の繁栄を祈願する「サラピャース」と「マスムイ」の儀礼が行われた。この1年間に誕生した子供を先祖に報告するとともに、健やかな成長を祝って島民が神酒を回し飲み、子孫繁栄と島のさらなる発展を願った。30日は島内を練り歩くパレードのほか、「雨乞い座」と呼ばれる広場で島の子供たちも参加した棒振りや奉納の踊りが行われ、島民の無病息災と五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する。
ヤーマスプナカは、その昔に来間島を救い、繁栄させたと伝えられる3兄弟の家元(長男スムリャーブナカ、二男ウプヤーブナカ、三男ヤーマスヤーブナカ)を中心に祭事が行われる。
祭り初日、二男のウプヤーブナカでは、午前8時ごろから「サラピャース」が始まった。
子宝に恵まれた1年を祝って、家主の砂川輝夫さんらが「ますますこの『ヤーマスプナカ』の行事が盛り上がっていくように皆さんの協力を願いたい」とあいさつし、住民らに神酒を振る舞った。
島の関係者が神酒を回し飲む間は全員で神詩を歌い、生まれた子供の健やかな成長を願った。
この後、マスムイが行われ、ここ1年で生まれた子供5人が紹介された。父親らがあいさつに立ち、新しい命の誕生を島全体で祝ってくれる島民の気持ちに感謝の言葉を述べた。
生後3カ月の栞里ちゃんをお披露目した浦添市在住の洲鎌弘樹さんは父親が来間島出身。妻・里沙さんと一緒に祭りに参加し、7月に誕生した栞里ちゃんを島民にお披露目した。
洲鎌さん夫婦は「こんなにも多くの島民にお祝いしてもらってとてもうれしいし、感動した。これから健康で健やかに育ってくれることを願っている」と笑顔で話した。
この日は、笑顔の島民たちが子どもの誕生を祝う姿と笑い声が響き、島はヤーマスプナカ一色となった。
2日目は「雨乞い座」で、3兄弟の一族が棒振りを披露し、郷友会のメンバーらと共に五穀豊穣、無病息災、子孫繁栄を願う。
また、2年連続で島内に喪中の家が多いということで、中止となっていた島内を練り歩くパレードは今回、3年ぶりに開催される。