防風林造成で植樹/城辺保良
園芸施設にイヌマキ170本/県が普及・啓発推進へ
県は3日、城辺保良に設置された園芸施設で、防風林を造成するためのイヌマキ170本を植樹した。園芸施設防風林設置推進プロジェクトの一環で、施設整備と植樹を同時に進めるという意識の普及・啓発を狙う。県農林水産部の島尻勝広部長は「防風林の有意義さを啓発する機会になると確信している」と全県的な広がりに期待を寄せた。
台風常襲地域の沖縄県にとって、防風林の整備は重要な取り組みの一つ。今回のプロジェクトで施設と防風林を同時に整備するという機運を高め、生産物の安定出荷並びに当該農村地域の活性化につなげる。
防風林の造成作業は、このほど県の補助を活用してハウスを設置した砂川正樹さん(41)の施設周辺で行われた。砂川さんは新規就農者で、年明けにはサヤインゲンを初出荷する。
プロジェクトの開始セレモニーで島尻部長(大村学県宮古農林水産振興センター所長代読)は「園芸施設の導入は定時・定量・定品質の農作物の安定生産を担う産地の強化にとって欠かせない」と施設栽培の重要性を指摘し、防風林の整備が施設の長寿命化や緑化の推進につながるという利点も挙げた。その上で「植樹が行われることで、防風林設置に対する意識の向上が図られる」と期待した。
続いて新規就農者の砂川さんが「防風林を整備したくて、そのためのスペースも設けていた。いつかほしいと思っていたところに県の支援をいただくことができた」などと感謝し、「新規就農者としてしっかり頑張りたい」と話した。
この後、県、市、森林組合など関係団体の職員が植樹作業を行った。イヌマキは市が提供した。参加者は施設周辺の延長135㍍の区間に30~40㌢のイヌマキの苗を植え付けた。雨でぬかるんだ圃場に入り、それぞれ泥だらけになりながら作業に汗を流していた。
森林組合によると、植えたイヌマキが防風林としての機能を発揮するのは今から最低でも5年後。息の長い取り組みだが、大村所長は「生産物や施設そのものを守るためにも、中長期的な視野で防風林の整備に努めてほしい」と話した。