県民投票 反対意見書を可決/宮古島市議会
与党の賛成多数で/安全保障挙げ「なじまない」
米軍普天間飛行場の移設計画で、開会中の宮古島市議会(佐久本洋介議長)12月定例会は12日、名護市辺野古の埋め立ての賛否を問う県民投票に反対する意見書を与党などの賛成多数で可決した。辺野古の埋め立てに関する県民の意思は示されていると主張。安全保障政策も引き合いに「なじまない」と結論付けた。県民投票をめぐっては関連予算も否決される見通しだ。今後は、予算が否決されても執行することが可能な市長の判断が注目される。
反対の意見書は与党の新里匠氏が提出した。賛成議員は▽平百合香氏▽平良和彦氏▽下地信広氏▽砂川辰夫氏▽我如古三雄氏▽前里光健氏▽下地勇徳氏▽粟国恒広氏▽上地廣敏氏▽平良敏夫氏▽山里雅彦氏▽棚原芳樹氏▽狩俣政作氏▽高吉幸光氏▽濱元雅浩氏▽真栄城徳彦氏-の計16人。
意見書では「この県民投票は、辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否のみを問うもので、米軍普天間飛行場の移設による危険性の除去について県民の意思は問われていない」と指摘した。辺野古埋め立ての意思は県知事選で示されたとし、「再度意思の確認は必要ない」と訴えた。
県民投票にかかる5億5000万円余の予算は「特に子どもの貧困対策に活用して子供の福祉向上につなげるべきだ」と主張した。
また、住民投票は地域で完結可能な問題で実施されるべきだとし、「安全保障政策の面でも一自治体の住民が地域を超えて決することは国全体に影響を及ぼすものであり、なじまないと考える」との見解を示して反対の意思を明確にした。
この意見書に対して野党は反発した。質疑の中で國仲昌二氏は、「住民の意思表示の権利を奪うことにならないか」と問うた。新里氏は「反対を求める声は多数寄せられており、その声を反映させるのは議員の当然の義務だ」と返した。
討論では意見書に反対する仲里タカ子氏が「県民投票を通して若者の行動を実現させることが大人の責任と行動だ」と訴えた。一方で前里光健氏は普天間飛行場の危険性除去と負担軽減を強調し、「県民投票にはその原点がまったく明記されていない」として意見書に賛成の立場を取った。
このほかにも國仲氏が反対、平良和彦氏が賛成の立場でそれぞれ討論した。
最終的に挙手で採決が行われ、与党などの賛成多数で意見書は可決された。
与党は、市が提出している関連予算も否決する方針だ。仮に否決されれば下地敏彦市長が再議に付す。これも否決された場合、地方自治法に従えば、最終的な予算の支出は下地市長の判断に委ねられる。