補助金増額を検討/宮古馬保存
飼養環境めぐり市教委
宮古馬の飼養環境をめぐる報道が相次ぐ中、宮古馬保存会の飼養者説明会が19日午後、市役所城辺庁舎内で開かれた。資金不足の窮状を訴えて行政支援を求める飼養者に対し、市教育委員会は保存会への補助金増額を検討していることを伝えた。次年度の増額に向けて調整を進める。
日本在来馬の一つの宮古馬をめぐっては、一部週刊誌の報道をきっかけに飼養環境の向上を求める声が全国から相次いだ。今月の報道以降、保存会の事務局を置く教育委員会には電話やメールなど約100件の問い合わせがあったという。
説明会で市教委は、今年の宮古馬の死亡頭数と原因を示し、馬を縄でつなぎ続け、水や餌も与えないとする一部の指摘は「確認されていない」という現状を報告した。ただ、飼養スペースの狭さや、ふん尿の片付けが行き届いていない厩舎があったことは認めた。
飼養者の中から馬を返還したいという申し出があることも伝え、返還希望頭数は6頭とした。
こういった現状に対応する市教委の取り組みを説明した。新しい飼養者を探したり、厩舎を確保したりする作業に当たっているという。飼養者に育成奨励補助金などを支払う保存会への補助金の増額を検討していることや、返還された宮古馬を飼う人がいなければ「市の施設で見ていきたい」という方針も示した。
これらの考えはおおむね飼養者に受け入れられたとみられるが、意見交換では多くの不満が噴出した。
飼養者の一人は「私たちはこれ(飼養)で生活しているわけではなく、給料をくれとも言っていない。宮古馬を生かすために、最低限の施設と餌代を保障してほしい」などと訴えた。
別の飼養者は「予算増額の話が出たが、その話を馬を返還したいという人に伝えるべきだ。みんな長年愛着を持って宮古馬を飼ってきた。増額があるなら続けるかもしれない。ここでやめるのはもったいない」と話して周知徹底を促した。
そのほかにも「年に何回かは厩舎を回って、飼養者の意見を聞いてほしい」と要望する声もあった。