沖縄振興費3010億円/増額認めず、前年度同額
製糖業体制強化に12億円
政府は21日、2019年度予算案を閣議決定した。沖縄振興費は前年度と同額の3010億円となった。9月に初当選した玉城デニー知事は概算要求通り3190億円を求めていたが、増額は認めなかった。製糖業の体制強化を推進するための人材確保や、市町村による季節工の宿舎整備などを支援する事業に11億7300万円、離島市町村の先導的な事業を支援する離島活性化推進事業に12億円をそれぞれ計上した。
使途について県の自由度が高い一括交付金は、前年度比8%減の1093億円。同交付金が創設された12年度以来、最低となった。一方、辺野古移設の関連費は契約ベースで707億円を計上した。
離島関連の主な予算は、健康医療拠点整備経費として58億8200万円、情報通信技術(ICT)を活用した離島における高校教育の実証実験などの人材育成事業に2億7200万円、泡盛製造業の自立的経営を促進するため、モデル事業の実施により事業者が行う海外販路開拓などの取り組みを支援する費用として1億1200万円を計上した。
そのほか、支援員の配置や居場所づくりを集中的に実施する子供の貧困緊急対策事業に13億900万円、大規模災害時に想定される観光避難民への市町村などの対応を支援するための予算として新規に9億5000万円を盛り込んだ。
政府は19年度沖縄振興費について、成長が著しいアジアの玄関口に位置づけられるという地理的特性や全国一高い出生率など、大きな優位性と潜在力を有しているとし、これらを生かした日本経済再生のけん引役をなるよう、国家戦略として総合的、積極的に推進するとしている。
宮腰光寛沖縄および北方担当大臣は「北部振興、離島活性化、子供の貧困緊急対策、製糖業体制強化、琉球泡盛の海外輸出など、重点的に取り組むべき分野の予算を増額して計上した」とのコメントを出し、引き続き沖縄振興に全力で取り組む考えを示した。