偏見や誤解の解消を
ひきこもり対応で講演会/市障がい福祉課主催
「ひきこもりの理解と対応~地域と家族にできること~」と題した講演会が21日、JTAドーム宮古島で行われた。講師で和歌山県精神保健福祉センター所長の小野善郎氏が、ひきこもりになる原因や家族、地域の人たちの接し方などを紹介。「支援されるべきは当事者だが、家族も支援を必要としている。家族の負担を軽くするのも支援だ」と述べ、早い段階で相談につながる仕組みづくりを呼び掛けた。偏見や誤解を持たずに、居場所づくりを設けることも指摘。「孤立をふせぐことが自殺防止につながる」と話し、地域活動の推進と支援ネットワークづくりを訴えた。
ひきこもりとは仕事や学校に行かず、家族以外の人との交流をほとんどせずに6カ月以上続けて自宅にひきこもっている状態で、宮古島市でも相談件数が増加傾向にあるという。
講演で小野氏は、まずはひきこもりへの理解が必要であることを強調。その上で、社会的孤立がひきこもりを招いてしまうとして、相談や支援によるつながりが重要だとした。
ひきこもることで、社会や地域、家族から存在が消え、悪循環が強まっていくことを説明した。
小野氏は、これに加え家族が周囲の目を気にしてひきこもりを隠したり、誰にも相談しなかったりすると社会との接点が失われ、治療や相談の機会が無くなっていくことを指摘。「これが長期化すると迫害的になりやすい。支援のプロセスとしては、家族での存在を第一に取り戻すことが重要だ」と話した。
「地域では所属がないことを問題視するが、そういう人が家にいるということを認める社会をつくっていかなければならない」と述べ、多様性を認め誰も排除しない社会の実現を訴えた。
同講演会は地域自殺対策強化事業で、市福祉部障がい福祉課が主催、一般市民が参加した。