さらに「美しい村」へ/島内の美化活動に汗
本永秀一さん「気持ち良く迎えたい」/多良間
【多良間】多良間村は「日本で最も美しい村連合」に加盟している。そんな村にふさわしい美化活動を一人で行っている男性が地元で話題になっている。「島外に住んでいる島出身者や、観光客を気持ち良く迎えたい」との思いと、生まれ育った島に恩返しの気持ちも込め、5年前から道路などで雑草の除去作業に汗を流している。
塩川在住の本永秀一さん(61)がその人。5年前にUターンし、農業をしながら島の各所で作業を行っている。
本永さんは数年前、友人たちに呼び掛けて島を美しくする「すまかぎ(島美ぎ)会」を立ち上げた。
しばらく活動を続けたが、1人減り、2人減りし、とうとう本永さんだけになった。
本永さんは、一人暮らしのお年寄りから庭の掃除を依頼されたり、雑草で覆われた観光案内板や道路標識を元通りにして見やすくしたりするなど、幅広い活動を展開している。
倒木の恐れがある樹木は、村役場に撤去作業を要請する。
昨年11月に完成・稼働した多良間の製糖工場へ続く道路も、朝昼の2回に分けて2週間かけ見通しの良い空間にした。
これは生まれ年を祝う「トゥイ会」が7日に行われるからだ。本永さんは「『トゥイ会』で帰省する人たちは、新しくなった製糖工場を見学するはず。しかし、道路に雑草が伸び放題だと、新工場の印象が台無しになる。久し振りに島に帰る人たちが良い気持ちで楽しんでもらえれば」と話した。
島へ来る人を気持ち良く迎える活動は、いわば「おもてなしの心」。そういった活動につながる「すまかぎ会」の再結成が当面の目標だ。
本永さんは「活動に共感する人が集まれば、今まで以上に島を美しくできる。村民だけでなく、観光客にもポイ捨てはやめようと呼び掛けていきたい」と意気込みを語る。
本永さんの活動に、村役場の本村和也建設課長は「村民が活動を見習って、島を美しくしようという意識づくりを高めていけば」と話している。