伊良部への送水開始/地下ダム事業
農業用水を牧山FPへ
4月から給水利用可能
第2期国営地下ダム事業で、宮古本島の地下ダムと伊良部島の牧山ファームポンド(FP)を結ぶ農業用パイプラインがこのほど完成、15日までに送水が始まった。4月1日からは牧山ファームポンドに設置する給水施設(三型)を使って地下ダムの水を利用することが可能になる。伊良部島で、念願の農業用水の活用が始まる。
第2期国営事業は、宮古島市城辺の仲原と保良に新たな地下ダムを造り、宮古本島と伊良部島で有効に活用することが狙いだ。
2009年度に着手しており、このほど仲原ダムと伊良部島を結ぶパイプライン(23・3㌔)が完成したことから通水を始めた。
仲原ダムから汲み上げられた農業用水は上野野原の宮古吐水槽を経由。ここからは自然流下で伊良部大橋を通し、牧山まで送る。
高さ13㍍(屋根の部分を除く)の牧山ファームポンドの有効貯水量は約1万6000㌧で、15日までに約半分の農業用水をためた。
宮古本島のように、スプリンクラー等を使用して水をまけるのはあと数年の期間を要す。面整備、かんがい施設の整備が同時並行的に進められる予定だ。
ただ、暫定供給として三型給水施設を牧山ファームポンド敷地内に置く。4月1日からは、専用コインを投入すれば水を使える。
専用コイン1枚で使える水の量は500㍑。コインは市役所伊良部庁舎で販売する。1枚20円。
15日にファームポンドを公開した宮古伊良部農業水利事業所では、「農家の皆さんに少しでも早く『水あり農業』を実感していただきたい。かんがい施設が整うまでの間、暫定的に供給していきたい」として農家の利用を呼び掛けた。
平良和史所長は「地下ダムの水が、こうして伊良部島に届いた。農家の皆さんには暫定供給を通して『水あり農業』への心の準備をしてほしい」と話した。
第2期国営地下ダム事業における伊良部島の受益面積は1351㌶。宮古本島は7805㌶で計9156㌶となる。総事業費は523億円を見込んでいる。