適正管理 義務に/空き家問題
正しい知識呼び掛け
セミナーで利活用示す/宮古島市主催
空き家の適正管理や利活用についてのセミナー(主催・宮古島市)が10日、JTAドーム宮古島で行われた。NPO法人空家・空地管理センター代表理事の上田真一さんが講師となり、全国や宮古島市で増え続ける空き家の現状を報告するとともに、実例を示しながら空き家問題に対する正しい知識を呼び掛けた。
宮古島市における空き家数は486戸で、城辺や平良に多く地域差が見られる。
空き家対策は市の重点施策に位置付けられており、下地敏彦市長は2019年度施政方針で「所有者への指導や有効活用の促進を図る」と強調。「特定空き家」の発生を防ぐ所有者や市の責務などを明記した条例案を市議会3月定例会に提案している。
セミナーで上田さんは、空き家の所有者は高齢者や遠方在住者が多く、これが課題になっていると指摘。「長期間放置しておくと樹木などが生い茂ったり、老朽化で建材やコンクリート片が落下したりして景観や安全を乱す」と述べ、「地域の問題」として捉えられているとした。
自宅を手放せない高齢者▽実家を手放せない子どもたち▽仏壇の問題▽実家をめぐる「争族」-が空き家の長期化と空き家増加の一因だと説明した。
行政による空き家の適正管理促進はこれから本格化するとし、適切に管理されていないため著しく景観を損なっている状態にあるなどと認められる「特定空き家」に認定・勧告されると固定資産税が最大6倍に増額されることなどを紹介した。
上田さんは「これまでは空き家を放置しても責任を追及されることはほとんどなかった。しかし、これからは所有する空き家は適正管理する義務がある」と語った。
その上で「違反者にはさまざまな罰則が適用されることを知ってほしい」と訴え。所有者には「利活用を含めた計画の立案」などで適正な管理を、近隣住民には「雑草除去など、協力できる範囲で協力する」などの助け合いの精神を提案した。
空き家を利活用したい人には「自分のプランを並べ立ててはダメ。まずは空き家になっている理由をきちんと把握することが大事」などと話し、所有者の意見を尊重し空き家を解消していくことが必要だと助言した。
セミナー後は、同会場で個別相談会も行われた。
講師の上田さんは、民謡歌い手だった城辺の上田長福さんの孫。全国で空き家の適正管理や利活用に取り組んでおり、宮古島市など複数の自治体で空き家対策に関する協議会委員を務める。