定量超は料金加算/土地改良区総代会
地下ダム水使用料可決/農業用水の安定供給へ
宮古土地改良区(下地敏彦理事長)は18日、JAおきなわ宮古地区本部で第30回通常総代会を開き、賦課金(地下ダム農業用水の使用料)を従量制とする議案を賛成多数で可決した。基本料金は10アール当たり年間2000円の設定だが、定額流量の260トンを超えると1トンごとに15円が加算される仕組みだ。ただ、一つの給水栓を複数人で使用している場合は適用を除外。当面は従来の賦課金額に据え置く。2020年度から適用する。従量制は、3度目の提案で可決された。
従量制は2015年に初めて提案されたが、当時は賛成少数で否決。前回18年の総代会でも参加総代の理解は得られなかった。
今回の総代会で下地理事長は「限りある地下ダムの水だ。効果的に利用する方法を子や孫に引き継いでいくことが重要になる」と訴えた。その上で「従量制の導入で農業用水の安定供給に努めたい」と述べた。
従量制の概要を事務局が説明した。一部の組合員による過剰なかん水が日常化していることで、適正に水を利用する組合員との間に不公平が生じているという現状を示し、「標準的なかん水を行っている組合員の実質的な負担額は増えない仕組みになる」とした。
質疑に入ると賛否の声が上がった。従量制に賛成する総代は「前回の総代会では反対したが、いろいろ話を聞くと納得できた。農家の中には雨が降っているのにスプリンクラーを回している人もいる。全体の意識を高めていくためにも従量制は必要だ」と話した。
一方で反対の総代は「昨年否決された議案だ。その時点でこの話は終わりではなかったのか」と疑問視したり、「従量制に移行するのであれば、もっと時間をかけて議論を深めなければだめだ」と憤ったりして執行部の提案に反対した。
採決の結果、賛成多数で同案は可決された。過去2度の否決を受けて、事務局が地区別に説明会を開いて回ったことや、一つの給水栓を複数で使用している場合の適用除外制度を設けたことなどで総代の理解が深まったものとみられる。
可決を受けて、下地理事長は「総代の理解が得られたことをうれしく思う」と安どし、「水利用は新たな展開に入る。使いたいだけ使う時代から、しっかり管理して使う時代になる」と話し、地下ダムの水の有効活用の重要性を説いた。
総代会では賦課金のほか2019年度の事業計画案や予算案も審議し、それぞれ賛成多数で認めた。
事業計画には、地域農業ストックマネジメント事業を活用して施設の機能保全を図ることや、土地改良区の設立30周年記念行事の開催などを盛り込んだ。
一般会計予算は3億2500万円。収入は組合費9700万円、補助金1億4500万円を計上。支出は事務管理費1億2900万円、施設維持管理費4100万円などを組んだ。