生活保護世帯にも影響/アパート家賃
扶助費上回る値上げも
市民の暮らしにずしり
アパートなど市内の共同住宅で相次ぐ家賃の値上げが生活保護世帯にも影響が出ている。市福祉部によると、家賃の値上げは7件、退去を求められている相談は8件寄せられている。値上げ後の家賃では住宅扶助費の基準額内に収まらず、退去しても住宅不足で行き場がないため調整が難航しているという。急激な社会構造の変化に端を発する家賃の値上げが市民の暮らしに重くのしかかってきた。20日の市議会一般質問で、市福祉部が現状を説明した。
家賃の値上げは昨春ごろから増え始めている。県消費生活センター宮古分室など関係団体によると、月額2000~5000円の範囲もあれば、1万円以上の大幅な値上げを提示されるケースもあるという。
こういった家賃の値上げは一部の生活保護世帯にも通知されている。値上げ後の家賃が住宅扶助費の範囲内であれば家賃認定を変更して対応できるが、扶助費を超えた場合は原則として市が転居指導を行う。
ただ、今は住宅不足で行き場がないため、家賃の値上げにも退去通知にも対応できないという。こういった現状を踏まえて仲里タカ子氏が一般質問で取り上げた。「このままでは市民の暮らしを脅かしかねない」と述べて、市当局に対応を求めた。
これに福祉部の下地律子部長は「住宅不足の問題は生活保護世帯にも少なからず影響を及ぼしている」と認め、「値上げや退去等の通知を受けて相談を受けているケースが件ある。そのほか基準額の範囲内で値上げがあり、すでに家賃認定変更を行ったケースが3件で、基準額を超過している部分をやりくりしているケースも2件ある」と市の対応を説明した。
ただ、抜本的な解決策はないのが現状だ。垣花和彦生活環境部長は「相談は民間の契約に関することなので行政が介入することは難しい。賃貸借契約に関する情報を提供し、弁護士など法律事務所につなぐことで対応している」と行政としての限界に触れ、「(事前予約制の)夜間暮らしの無料相談会を月に2回開催しているので、ここで専門的な相談にも対応することができる」と理解を求めた。