融資額50億5800万円/18年度公庫宮古支店
前年度比17億円減/運転資金の需要鈍る
沖縄振興開発金融公庫宮古支店(桑江賢支店長)は28日、2018年度の管内融資実績を発表した。融資額は50億5800万円と前年度と比べて16億9300万円減少し、7年ぶりに60億円を割り込んだ。活況を呈す管内経済を映し出すように企業の設備投資マインドは高まっているが、現場の人手不足を主因とする建設工事の遅れが常態化。相対的にセーフティネット資金(運転資金)の需要が鈍り、融資額に響いた。管内の好景気が背景にある。
18年度融資実績は485件と前年度比で2件微増したが、融資額は大幅25・1%の減少となっている。
大型公共工事の継続やアパート建設における活発な民間投資、観光客の増加等で景気の上昇は続いているが、人手不足といった供給サイドの制約で工事の遅れが発生。この結果、事業運営で使う運転資金の必要時期が後ろにずれ込むように需要が減少した。設備投資が進む半面、人手不足で事業運営が鈍る現場の実態が浮かび上がった形だ。
この情勢は使途別融資実績に反映されており、融資額29億3300万円で前年度比5億円減の設備資金に対し、運転資金は21億2600万円で同比11億9100万円も減少している。
資金別融資実績では、中小企業資金が億2000万円と前年度より10億7800万円減少した。これもセーフティネット資金の減少が大きく影響した。
農林漁業資金は7500万円の実績で、前年度の6億8900万円と比べて大幅に減少した。要因は製糖会社の大型設備投資が一服したことに伴う反動減。
生業資金は、28億600万円と前年度並み。このうち「マル経資金」と呼ばれる小規模事業者経営改善資金及び「沖経資金」の沖縄雇用・経営基盤強化資金の融資件数は前年度比25・9%増の146件、融資金額は同36・8%増の15億2000万円となり、生業資金の過半を占めた。
教育資金は200件、2億200万円と過去2番目の高水準となった。
業種別は建設業が10億2800万円、構成比20・3%と最も多く、宿泊・飲食サービス業が8億4200万円(同比16・6%)で続いた。製造業は8億3400万円(同比16・5%)の実績だった。観光客数の増加に伴う観光関連産業の好況を受け、宿泊・飲食サービス業における旺盛な資金需要が鮮明になった。
18年度融資実績について公庫宮古支店は「好景気を背景としたセーフティネット資金需要の減少で融資額は前年度を下回った」と総括した。桑江支店長は「引き続き商工会議所等の関係機関や民間金融機関との連携強化を図りながら、事業承継支援や本店による大規模プロジェクトを含め、宮古圏域の多様な資金ニーズに適切かつ迅速に対応していきたい」と話した。