農家戸数、減少の一途 肉用牛
730戸、10年で350戸減
飼養頭数増も課題山積
宮古島市農林水産部はこのほど、2018年12月末の肉用牛農家戸数と飼養頭数をまとめた。農家戸数は8年連続の減少で、前年比では51戸減の730戸まで落ち込んでいる。10年前と比べると350戸以上の農家が牛飼いをやめた。飼養頭数は前年より284頭増えたが、生産基盤となる繁殖用牛は伸び悩んでいる。農家の高齢化に伴う廃業の連鎖が先細りの要因だ。
市農林水産部畜産課のまとめによると、18年の地区別農家戸数は▽平良207戸(前年比16戸減)▽城辺349戸(同11戸減)▽下地56戸(同6戸減)▽上野106戸(同17戸減)▽伊良部12戸(同1戸減)-。
減少幅に差はあるものの各地区で減少しており、関係機関・団体が推し進めてきた担い手の育成は思うように進んでいない。
一方、飼養頭数は280頭以上増え、生産率の向上及び中間層で規模の拡大が進んでいるという実態が見て取れる。ただ、この数字には繁殖のタイミングで大きく変動する子牛の数も含まれており、生産基盤となる繁殖用牛に絞ると増頭数はわずか21頭と少ない。
こういった現状に、市は危機感を強めている。農林水産部の松原清光部長は関係機関を集めた会合で「高齢化に伴い、農家の戸数は減る一方にある。担い手の育成など課題は多い」と問題意識の共有を図り、「規模の拡大等を推進し、肉用牛を盛り上げていかなければならない」と述べた。農家が減り、繁殖用牛を確保できなければ、毎月の競りに出す子牛の頭数に影響が出る。競りを実施するJAおきなわ宮古地区畜産振興センターによると、最低でも毎月400頭を確保したいところだが、実態は維持できていない。1カ月350頭を切るような事態に陥れば、購買者が離れて市場価値が損なわれる。
同センターの荷川取努センター長は、廃業する農家の速度は鈍っているとしながらも、「廃業のペースに新規の担い手が追い付いていない」と指摘した。その上で「高齢者の農家が多いため、減っていくのは仕方がない。今後は中間層が頭数を増やして規模を拡大したり、分娩(ぶんべん)時の事故を減らしたりして頭数を確保することが重要だ」と話した。