最高裁、原告側の上告棄却/不法投棄ごみ訴訟
【那覇支社】宮古島市が2014年度に行った不法投棄ごみ撤去事業で市に損害を与えたとして、同事業の予算額2251万円などを市が下地敏彦市長らに請求するよう求めていた住民訴訟で、最高裁が訴えを棄却していたことが分かった。最高裁の決定は4月26日付。
今回のような裁判では、一審の地方裁判所と二審の高等裁判所で事実関係と法律問題を審査し、最高裁では二審の判決が憲法違反かどうか、これまでの最高裁の判例と食い違うか、判決理由に不備があるか、法令の解釈に関する重要な問題点があるか、などを判断することになっている。
最高裁は、4月26日付の決定で「本件は(上告できる規定を定めた民事訴訟法312条の)各項に規定する事由に該当しない」などと判断した。住民側は「市民や民間企業実務の感覚に基づいた適切な判断をしてほしい」などと訴えていたが認められなかった。
この問題は、宮古島市が14年度に不法投棄ごみを撤去した事業で崖下の現場に大量のごみが残存していたことを受けたもの。住民有志らは、市が撤去作業の状況確認を怠り違法な公金支出で市に損害を与えたとして、下地市長らの責任を追及してきた。
昨年3月、那覇地裁は住民側の請求を棄却。同12月の福岡高裁那覇支部の判決でも、市の担当者について「きわめてずさんな事務処理」と認めたものの、各支出命令などが法令に違反するとはいえないとして訴えを退けていた。今回の決定で、同高裁那覇支部の判決が確定したことになる。
決定を受け、住民側の喜多自然弁護士は「行政の問題に裁判所が正面から向き合わなかった問題のある判決。本来、司法は行政の判断過程のチェックを求められているが、行政判断に踏み込まないのが(現在の)問題点だ」と述べた。
一方、市側の大城純市弁護士は「(市と業者の契約が)ごみを全部撤去しなければいけない契約と決めつけた主張で、前提事実が誤っていた。市の主張が正しいと最高裁でも認められた。市はごみを出来るだけ撤去してきた」と語った。